2018/12/4

米金融界、男性中心から転換

男性中心の文化だった米金融界が人材の多様化にかじを切っている。優秀な人材が多様化が先行するIT(情報技術)産業や起業を選ぶようになり対策が欠かせなくなった。ダイバーシティが経済的な価値を生むという認識も浸透してきた。

米人材会社ボールトの調査では、インターンで人気の企業は1位がグーグル、2位がアップルと上位はITが独占した。金融ではゴールドマン・サックスが6位、JPモルガンが8位だった。

人材を確保し、ビジネスを成功させるためには多様化が欠かせないとして、ゴールドマンは11月、新たに選んだ69人のパートナーのうち、26%に相当する18人を女性にした。4年前の2倍の水準になる。最終的には従業員の半数を女性にする目標を掲げ、まずは2021年までに新入社員の比率で達成する方針だ。

多様化の効果を分析する調査も金融界の動きを後押ししている。ハーバード・ビジネス・レビュー誌が8カ国の企業を対象に、性別や年齢、国籍、教育などの違いと業績の関係を調べたところ、多様化した企業ほどイノベーションが多く、利益率も高かった。

社会の風潮におされて表面的に女性などマイノリティーの人数を増やすのではなく、企業の競争力に欠かせないという認識が広がっている。

日本、人種や国籍も意識を ~取材を終えて~

クラビス氏は、アイスホッケーの著名選手の名言にしばしば言及する。「パックのあった場所ではなく、向かう先に動く」。変化を先取りする力が、業界トップを走り続ける力の源になってきた。

1980年代にはM&A(合併・買収)ブームの主役となり、「バーバリアン(野蛮人)」とも呼ばれた。経済的な利益を追う時代が2008年の金融危機で転機を迎えると「社会との共生」に重きを置き、ESG(環境・社会・統治)投資に力を入れている。時代を読む目は的確だ。

ダイバーシティは性別にとどまらない。米国では自然と人種や国籍に目が向くが、海外展開する日本企業は意識的に広く捉える必要がある。経営層に外国人も採用しなければ、ビジネス上でも成功はおぼつかない。クラビス氏は「投資する日本企業にも当然、多様化を求める」と話す。

(編集委員 松崎雄典)