厄介な同僚の独りよがりな正義感 衝動に潜む劣等感タイプ5・劣等感を隠しもつヒーロー

ちょっとでも「おかしい!」と思うことがあると黙っていられない。

「あの人のやり方はおかしい」

「あの制度はおかしい」

「この組織はおかしい」

などと糾弾が始まる。周囲の人たちは、その勢いに退き気味で、

「それはちょっと極端じゃないかな」

「そんなに目くじら立てるほどのことでもないんじゃないの」

などと取りなそうとするが、本人は自分の言い分こそが絶対に正しいと信じ込み、

「なんでみんなわからないんだ!」

「そんな事なかれ主義でいいのか!」

といきり立っている。それを見て、周囲の人たちは、

「そこまでムキになるほどのことじゃないだろうに」

「そんなに事を荒立てる必要はないのに」

と呆れるわけだが、本人は事なかれ主義で見過ごすのは間違っていると思っており、みんなが言いにくいこともはっきり主張する必要があると、使命感すら感じている。

ヒーロー気取りの背景に劣等感がある

おかしいことがあっても見て見ぬフリをする保身的な人が多いなかで、言うべきことをきちんと主張する自分は正義の味方であり「正義のヒーロー」なのだといった意識さえ抱いている。

そこに潜んでいるのがメサイア・コンプレックスだ。これは、「自分は救世主である」といった思いを無意識に抱えているかのように、必要以上に他人や社会あるいは組織を救いたがる心理を指す。救うと言えば響きはいいが、実際にはありがた迷惑な存在になりがちだ。

本人は正義感で動いているつもりなのだが、心の深層には劣等感と歪んだ優越感が複雑に絡み合い、うごめいている。だから極端になってしまうのだ。

自分が仕事で有能さを発揮していなかったり、周囲に溶け込めずに不適応感をもっていたりして、劣等感を無意識のうちに抱えており、それを振り払おうとするかのように、正義のヒーロー気取りで、標的とする人物や組織、制度を叩こうとするのである。落ち度のある標的を叩くことで、自分の価値を高めることができる。

無意識の衝動に突き動かされており、冷静な心の動きでないため、建設的な議論にならないのだ。ゆえに、いくら諭しても人の意見に耳を傾けようとせずに、自分勝手な理屈を振りかざすだけ。ほんとうに厄介な存在なのである。

榎本博明
心理学博士。MP人間科学研究所代表。
1955年東京生まれ。東大卒業後、東芝勤務をへて都立大大学院心理学専攻博士課程中退。大阪大学大学院助教授などをへて現職。著書に「『上から目線』の構造」など。

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