40歳の次男が働きません
脚本家、大石静さん
40歳になっても次男が働きません。ご飯も食べれば、お風呂にも入りますが、ほぼ外出することはなく、家にいるだけです。親が死んだらどうやって生きていくつもりなのでしょうか?(千葉県・男性・60代)
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これは島根県の調査ですが、引きこもっている人は40代が最も多く、40代以上の中高年の引きこもりが全体の53%にものぼるそうです。千葉県でも似たような数字になるのだろうと想像します。
原因がどうでも、一度引きこもってしまうと、いかに社会に出て行くのがむずかしいかが、よくわかります。
10代、20代なら何が何でも引っ張り出して、社会と共存するため、徹底的に再教育をすることも可能かもしれません。しかし、もう20年も他人との接触をさけてきた40代以降の人に、出てきて働けと言っても、無理だろうと思います。
ではどうしたらいいでしょうか?
父親であるあなたは、裕福ですか? 裕福なら、ご自宅をアパートに改造し、その1室に息子さんを住まわせて、親亡き後も、家賃収入で、息子さんが生きられるようにするのはどうでしょうか。
たぶん、引きこもっている人は、パソコンを駆使していると思われます。家賃の管理はできるでしょうし、契約も人と会わずにできるかもしれません。最善とは言えないですし、非常識な考え方かもしれませんが、それしか息子さんが社会と接触せずに生きる道はないでしょう。
そしてそこまでやってあげれば、あなたも思い残すことはないと思います。早めに対処できなかったというような、親としての負い目も、そこまでやればなくなるでしょう。
そのような経済力はない、ということでしたら、運を天に任せて、考えないことです。40歳まで守ってきてあげたのですから、その先は、もう知らないよと割り切るのです。
そして自分の人生の充実を、考えられたほうがいいと思います。
奥様がおいでなのかどうか、わかりませんが、いてもいなくても、いとしい気持ちを抱ける異性を見つけて、楽しい時間を過ごしてもらえるといいな~、と思います。非日常を与えてくれて、日々の憂さを忘れさせてくれる相手です。
息子さんのことは、もう考えないようにして、あなた自身が好き勝手に生きる方向で、人生を再スタートさせてください。簡単ではないですが、そうしないとあなたが倒れてしまうと思います。
[NIKKEIプラス1 2018年12月1日付]
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