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インバウンド最前線

高級ホテル「京都の陣」 帝国が進出検討、外国人に的 パークハイアットやウェスティンも攻勢

2018/12/7 日本経済新聞 朝刊

祇園の中心地にある登録有形文化財の「弥栄会館」(京都市)

高級ホテルチェーンが地方への展開を急いでいる。訪日客を取り込むためで、帝国ホテルが2020年をめどに京都に進出する計画が浮上、外資系大手は新ブランドをつくる。これまで中堅ホテルなどの新設が相次いでいたが、宿泊施設が不足している関西を中心に、高級チェーンにも投資の波が及んでいる。

帝国ホテルは京都・祇園にある登録有形文化財の「弥栄(やさか)会館」を改修して利用する方向で検討している。地上5階建てで数十室程度の客室が整備される。

東京・日比谷を本拠とする帝国ホテルの地方拠点は大阪、長野に続いて3例目となる。帝国ホテルは11月28日、具体的にはまだ決まっていないが「地方展開の可能性は常に検討している。京都もその地域の一つ」とコメントした。

帝国ホテルだけではない。京都では19年に東山の料亭敷地内に「パークハイアット京都」が開業する。さらに既存ホテルでも京都の老舗ホテル「ウェスティン都ホテル京都」が20年春をめどに大規模改装する。客室数を約半分に減らして1室のスペースを広げ、単価を倍増させる。

高級ホテルの進出先として関西が注目されているのは、関西国際空港の就航便数の拡大を受けて観光客が急増しているためだ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの人気も一因だ。ビジネス客も多く、大阪のホテルの稼働率は9割前後で高止まりしている。

17年には「コンラッド大阪」が市内中心部に進出した。パレスホテルは20年に出る見込み。大阪・京都からの日帰りが多いとされた奈良でも、ホテル世界最大手の米マリオット・インターナショナルの最高級ブランド「JWマリオットホテル」の進出が決まった。

■マリオットは道の駅に併設も

マリオットは積水ハウスと組んで、道の駅にホテルを併設する(イメージ図)

外国人が地方に足を伸ばす動きは着実に広がっている。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、17年の延べ宿泊者数は東京都が前年比9.5%増に対して、京都府は20.7%増、大阪府は16.6%増。首都圏より関西の方が伸び率が高い。さらに三大都市圏以外の地方のシェアは調査開始以来初めて4割を上回った。

マリオットと積水ハウスは11月28日、地方の「道の駅」に併設したホテルを「フェアフィールド」のブランドで展開すると発表した。20年秋以降に京都や岐阜、和歌山など5府県に15施設(計1千室)を開く。リピーターが大都市だけでなく、あまり知られていない地方での新たな体験を求めていることに対応。自治体と連携して食や文化体験をうたい文句に集客する。

宿泊料金は1室1万~1万5000円を想定しており、主に大都市で展開する「リッツカールトン」「シェラトン」「ウェスティン」などに比べて大幅に抑えた。マリオットのアジア太平洋社長兼マネージングディレクター、クレイグ・スミス氏は同日の会見で「急速に増えているインバウンドに、知られざる日本の秘境へのアクセスを提供したい」と話した。

一方で、ホテルの供給が過剰になるとの懸念も出てきた。不動産サービス大手、CBRE(東京・千代田)によると、大阪府と京都府で、20年に供給される客室数がそれぞれ1万3500室、1万1300室オーバーする見込み。25年の大阪万博で期待は高まっているものの、必ずしも視界が良好とはいえない。

[日本経済新聞朝刊2018年11月29日付]

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