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新規上場の年末集中は問題 投資は好機も(苦瓜達郎) 大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

2018/12/4

そして、何よりも企業側が変に投資家慣れしておらず、その会社の素顔が見えやすいことが最大の利点です。私はこれまで1000件以上のIPO取材を行なってきましたが、この経験は何よりも力の源泉になっていると感じています。

■年末のIPOラッシュは需給面でも問題

このように迷惑気味の年末のIPOラッシュですが、一向に改まる気配がありません。2017年の12月上場企業は年間90社中22社で、18年も91社中20社となる見込みです。

(1)年内に上場を果たしたいという企業の意向(2)3月決算の企業が決算を終えてから上場作業を進めるとちょうどこのタイミングになる(3)12月決算の企業が年を越した場合、作業の多くがやり直しになるので無理しても行う――といったことが要因だと思っていますが、関係者への負荷という面も考えてほしいものです。

上場時期の集中は、株式の需給面でも問題です。17年に初値が公募・売り出し価格を下回った、いわゆる「公募割れ」は全部で8社ですが、11月までの6社は市場全体の調整局面に上場した企業が多いのに対し、12月には強気相場の絶頂だったにもかかわらず2社が公募割れとなりました。

■需給悪化による「公募割れ」はチャンスにも

いずれも、需給が緩いファンドの売り出し案件とはいえ、私の目には事業の中身があって株価が割高でもない企業と映りました。年末のIPOラッシュがいかに問題かを示していると思います。投資家を傷つけず、円滑な引き受け業務を続けるためにも、上場時期はもっと分散させるべきではないでしょうか。

もっとも、IPO需給の悪化による公募割れは、投資チャンスであるともいえます。上記の2社は今年に入って大きく株価が上昇しました。今年の年末上場企業も需給に左右される展開が予想されますが、公募割れの企業があったとして、それが中身のある企業で割安と判断できるのであれば、押し目買いも一案だと思います。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
苦瓜達郎
大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー。1968年生まれ。東京大学経済学部卒業後、91年大和総研入社。アナリストとして窯業やサービス業の担当を経て中小型株を担当。2002年大和住銀投信投資顧問入社。中小型株ファンドの運用に携わる。

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