ホテル型REITは高利回り 需給・訪日客数に注意を

日経マネー

写真はイメージ=PIXTA
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株式市場が乱高下する中でも、J‐REITは堅調な動きが続いている。2018年10月の東証REIT指数は上値が1770ポイント程度、下値が1745ポイント程度で推移しており、値幅は3%程度と狭いレンジでの動きだ。

今回は堅調な業績と値動きを示しているREITの中でも、特に分配金利回りが高い銘柄が多いホテル型REITに投資する際のポイントを説明しよう。前回「軟調続く物流系REIT 需給悪化も賃貸市況は堅調」で、物流型の価格下落は増資による需給悪化が主要因と解説した。しかし、ホテル型には増資懸念はない。この点を考えると、ホテル型には投資妙味があると言える。

注:データは2018年11月7日時点

ホテル型の高い利回りが続いている主な理由としては、今後の宿泊需給の悪化懸念を投資家が持っていることが挙げられる。ホテル建築の増加や民泊の普及などに伴い、宿泊施設の供給が大幅に増えるという報道が多いためだろう。

ただ、同様の懸念はオフィス型にも存在していた。2018年に東京都心部でオフィスビルの供給が急増するとの見方があり、同型の銘柄の価格は低迷していた。ところが実際には、18年に入ってもオフィスビル市況は好調な状況が続き、オフィス型REITの価格は大きく上昇している。供給は増えても、市況悪化にはつながらなかったのだ。

ホテル型にも同様のことが言えそうだ。供給が増えても市況が悪化しなければ、価格の上昇が見込めることになる。こうした状況になるかが、第1のポイントだ。

不動産サービス大手CBREの調査によると、最もホテルの供給が増えると見込まれる東京でさえ、今後は客室が不足する見込みという。大阪や京都などの主要都市でも、同社の調査によればホテルの供給過剰が起きているとは言えない状況だ。つまり投資家は、ホテルの供給状況に対して過剰な懸念を持っていると言える。

ただ、同社の予測は2020年の訪日外国人が政府が目標とする4000万人に達することを前提としている。もしこの前提が崩れれ見込みより少ない訪日客になった場合は、ホテルの供給過剰が起きるかもしれない。

そこで第2のポイントとして、東アジア地域と日本との関係が大幅に悪化しないかが重要になる。東アジアからの訪日客は、全体の8割近くを占めている。仮に日本と東アジア諸国の外交関係が悪化すれば、訪日客の大幅減につながりかねない。

ホテル型のうち大江戸温泉リート投資法人を除く他の銘柄は、ホテルの売り上げや収益に連動して変動する賃料の割合が高い。このため、訪日客の動向が変化すると影響を受けやすいのである。

ここまで記載した2点のポイントに鑑みると、ホテル型に投資するならポートフォリオに占めるビジネスホテルなど宿泊特化型の保有割合が低い銘柄を選択したい。宿泊特化型ホテルは、需要が低下した場合には単価競争に陥りやすいという弱みがあるためだ。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2019年1月号の記事を再構成]

日経マネー 2019年 1月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)