一方、事業開発においては、「ひらめきを形にする」というタイプよりも「さまざまなリソースを組み合わせられる」タイプが重宝されます。例えば、社内横断型のプロジェクトを推進して多くの人を巻き込む経験をしてきた人、他社とのアライアンスを推進した経験を持つような人が高く評価されます。

●採用のスペシャリスト

経営戦略に即した「戦略人事」を推進できる人が求められています。

中でも、最近のキーワードは「採用」。新卒も中途も採用競争が厳しくなる中、従来の方法では人を集められなくなっています。近年注目されている「リファラル採用(自社社員の紹介による採用)」などの新たな採用手法、あるいは「HRテック」ツールなどを取り入れながら採用課題へのソリューションを実現できる人が採用ターゲットとなっています。

●社外取締役・社外監査役

国の成長戦略に「コーポレートガバナンス(企業統治)の改革」が盛り込まれて以降、「社外取締役」や「社外監査役」を求める声が高まりました。一企業の社長や役員でありながら、他社に「社外取締役」として迎えられるケースが増えています。「女性の取締役」を外部から採用したいとする声も引き続きあります。

求められる「掛け算」のキャリア

複数領域の経験を掛け合わせて生かせる人材は貴重だ。写真はイメージ=PIXTA

業種・職種・ポジションにかかわらず、昨今求められている人材にはある共通点があります。一つの領域だけに従事し、専門性を極めてきた人よりも、複数の領域の経験を持ち、それらを掛け合わせて生かせる人が重宝されるのです。

例えば、採用担当者であれば、人事畑一筋ではなく、営業などを経験して折衝力やプレゼン力を身に付けた、あるいは広報としてブランド構築を経験したような方です。

つまりは、一企業の一事業部門で長く過ごした方よりも、部門異動や転職の経験を通じ、複数の領域や職種を経験している方が価値を認められているのです。

また、ベンチャー企業の採用においては、「ベンチャーに勤務した経験」も欲しい要素の一つです。大手企業しか経験しておらず、いきなりベンチャーに転職すると、カルチャーギャップを感じて挫折する人が多いのも事実。そこで、もともとは大手企業にいたとしても、一度はベンチャー企業で働いた経験があり、ベンチャーならではの混沌とした環境や修羅場などを経験していると、「免疫がついている」という安心感を与えるのです。

最近は、「副業(複業)解禁」の波が押し寄せてきており、大手やメガベンチャーなどでも副業を認める企業が増えてきました。これを利用しない手はありません。いきなり転職するというリスクが取れない方は、副業でベンチャー企業のプロジェクトを支援するなどの経験を積んでみてはいかがでしょうか。

報酬を得るような副業がNGでも、例えばNPOの活動をボランティアで支援したり、さまざまな業種の人が集うコミュニティーで新たな取り組みを推進したりといったように、会社の枠から出て経験できる機会はいろいろあります。そうした場で、複数領域の経験を積んでおくと、「人材」として強くなり、価値が高まります。

2019年は、そんなふうに自分のキャリアデザインを意識してみてはいかがでしょうか。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は12月14日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら