マネー研究所

タスヴェリ

1年で8割下落 ビットコインバブル崩壊の現場を歩く

2018/12/1

■400台のマシンが「採掘」

一方で、仮想通貨のマイニング(採掘)事業の今はどうなっているのだろうか。マイニング用マシンを設計・販売するゼロフィールド(東京・港)が今夏、東京都足立区に開いたマイニング工場を訪れた。扉を開けて薄暗い室内に足を踏み入れると、400台のマシンがうなりを上げて稼働していた。機械が発する熱で室内の温度は30度を超え、汗ばむほどだ。

都内のマイニング工場では400台のマシンが24時間稼働する(東京都足立区のゼロフィールド足立工場)

マイニングでは、電力料金が安い中国の事業者が先行した経緯がある。GMOインターネット(9449)なども海外に拠点を置くが、ゼロフィールドは「優秀な技術者を確保するため」(村田敦社長)に、国内に拠点を置いた。イーサリアムなど約30種類の仮想通貨を効率良く採掘するマシンを開発したという。

仮想通貨の取引では、ネット上の「ブロックチェーン(分散型台帳)」に取引データを承認・記録する必要がある。いち早くこの作業を手がけたマイニング事業者が、報酬として仮想通貨を受け取ることができる。

仮想通貨の価値が下がると、報酬の魅力も薄れるため、マイニング事業者にとっては逆風となる。このため今まで以上に消費電力を節約したり、作業効率を高める必要がある。

■マイニング事業から撤退する中国勢も

国内ではGMOの18年7~9月期の仮想通貨マイニング事業の売上高は約12億円となり、1~3月期の2倍以上に増えた。ただマシンの償却負担に加え、収益環境が悪化したことで営業損益は1億9000万円の黒字(1~3月期)から、6億4000万円の赤字(7~9月期)へと悪化している。

今年9月には、マイニング世界最大手の中国ビットメインが香港取引所に上場を申請。その時点の企業価値は約1兆5000億円との見方もあった。ただ中国で仮想通貨の取り締まりが強化されていることに加えて、相場も低迷し、収益環境は厳しさを増している。中国勢のなかには、マイニング事業から撤退するケースも出始めている。

調査会社アルトデザインの藤瀬秀平氏は「さらに淘汰が進むと、採算が上がるマイニング事業者も出てくる。現状はまさに我慢比べの状態だ」と話す。

これまで投機対象として関心を集めてきた仮想通貨だが、バブル崩壊によりその魅力は薄れつつある。今後は送金のしやすさなど、仮想通貨がもともと持っている特徴を生かして、決済手段としての魅力をどこまで高めることができるかがポイントになる。

(斎藤正弘、逸見純也)

「+(タス)ヴェリ」は週刊投資金融情報紙「日経ヴェリタス」編集部による連載コーナーです。タスヴェリはNIKKEI STYLEでだけ読めるスペシャル企画で、ミレニアル世代と呼ばれる20~30代の価値観やライフスタイルを、同年代の記者が取材し幅広くご紹介します。更新は不定期です。

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