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日本はウルトラマラソン大国 会社員が百キロで世界新 各地で大会、参加者増える

2018/12/28 日本経済新聞 朝刊

「サロマ湖100キロウルトラマラソン」で市民ランナーの風見尚さんは6時間9分14秒の世界新記録を樹立した(18年6月、北海道北見市)=実行委員会提供

日本のマラソン界は五輪のメダルから遠ざかって久しいが、42.195キロ超のウルトラマラソンでは世界のトップレベルにある。今年6月には市民ランナーの風見尚さん(35、愛三工業)が100キロのレースで世界新記録を樹立した。各地で町おこしを兼ねた大会が多数開かれて、中高年を中心に参加者も増えている。知られざるウルトラマラソン大国、日本の現状を追った。

練習する風見尚さん(愛知県大府市)

世界新の舞台は北海道の「サロマ湖100キロウルトラマラソン」。6時間9分14秒の長旅を終えたとき、風見さんはどこか余裕があったとみえる。「80キロ地点で落としたサングラスのレンズ、戻ってくるかな」。市民ランナーらしく、そんなことを気にしていた。だが北の大地に刻んだタイムは、およそ市民ランナーらしくないものだった。

1998年の同じ大会で生まれた従来の世界記録を4分19秒更新しての優勝に「(世界新の)実感はあまりなく、むしろ1番がうれしかった」。そう思ったのは、この大会が2カ月半後の世界選手権(クロアチア)の代表選考会を兼ねていたからだ。レース前の目標が「4位以内での代表選出」だった。この「記録より順位」の意識が、かえって歴史的な快走を生んだようだ。

曇天、ほぼ無風。絶好の条件で始まったレースは序盤から高速で進んだ。順位優先の風見さんにとっても「引くに引けない」展開。跳ぶように駆けていく先頭集団に残ることだけに集中し、多くの選手が脱落した中盤からは先行する2人を追った。「2人を視界に捉えながら走れた」ことで、期せずして世界新へとつながるレールに乗った。

■一般社員としてフルタイムで勤務

100キロレースともなれば、考える時間はほとんど無限にある。70キロすぎで先頭に立った後は自分との長い闘いだった。「昨年は終盤で失速したっけ」「あの選手、上がってくるかな」。とめどなく湧き上がる雑念をそのつど振り捨てる。守りに入らず、少しでも貯金をつくろうと足に力を込めた。3度目の100キロ挑戦にして、1キロ平均3分41秒というハイペースを維持。自己ベストを20分以上更新した。

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