マラソンの川内さん、毎週レース「実は旅好きだから」ボストン優勝、海外で挑戦さらに

「日本だったら神社とか。海外だったら大聖堂や有名な橋とか。オスロのレース後にはムンクの『叫び』を見てきましたし、ストックホルムでは王宮の兵隊のパレードに行きました。食べることも大好きです。ただレース前には、よく分からないものは食べたくないじゃないですか。だからレースの翌朝はホテルのビュッフェで、いろんなものを試します」

豪州ゴールドコーストマラソン後に現地の動物園を訪れた(18年7月)

「レースの結果が悪いと、それを引きずってしまって、観光してもむなしいですよね。逆に結果がよければ、すごく楽しくなります。グルメも、温泉も、すべてです」

最近は、海外のレースからゲストランナーとして招待されることが増えてきた。公務員として報酬は受け取れないが、往復の飛行機チケットと宿泊先のホテルは大会側が用意してくれるので、旅行好きの川内さんには魅力だ。

「ここまできたら世界の6大陸を制覇したいですね。ユーラシア、北米、オーストラリアの3大陸に加えて、(15年には南アフリカの)ケープタウンのレースに出たので、あと行ったことがないのは南米と南極だけです」

「仕事があるので、遠いところだと休みが足りなくなっちゃうんです。ケープタウンに行けたのは、たまたま日程が日本のシルバーウイークと重なったからです。南米はアルゼンチンやペルーのレースから招待されたことがあるのですが、休みが合わず、お断りせざるを得ませんでした」

来春は公務員をやめてプロに転向する。直接のきっかけは、自己ベストが13年に記録した2時間8分14秒で足踏みしていることだ。環境を変えることで、座右の銘でもある「現状打破」をめざす。その一方で、海外にもっと行きたいという本音ものぞく。

「ランナーとしてのピークはあと3、5年だと思うので、力があるうちに海外で挑戦したいです。いまは3連休を選ぶなど、キツキツのスケジュールでレースに出場しています。プロに転向してからは、もう少し余裕を持ったスケジュールで、祝日とか土曜日とかに関係なく、出たいレースに行きたいです」

「実績を残すとともに、世界のいろんなところに人脈をつくっておくつもりです。そうすればピークを過ぎてからも、スターターやゲストランナーとして呼んでもらえるかもしれません」

暑さが苦手、東京五輪には慎重

そんな川内さんにとって、五輪は数あるレースの一つにすぎない。特に20年の東京大会は酷暑が予想されており、自ら暑さが苦手と認める川内さんは、出場を目指すことに慎重だ。

「7時スタートだとゴールは9時です。私も埼玉県で暮らしていて、どれだけ暑いか分かっています。もう少し暑さに強ければよかったのですが、ちょっと無理ですね。万が一、スタートが5時半とかに早まるなら勝負してもいいとは思いますが……」

「ボストンで優勝してから、海外の目ががらっと変わりました。海外では、(その地で)優勝した選手や実績を残した選手にすごく敬意を示してくれるんです。五輪で勝たなくても、ほかの主要レースで勝てば大変なことになるんじゃないですか」

(聞き手はオリパラ編集長 高橋圭介)

川内優輝
1987年3月生まれ。埼玉県立春日部東高から学習院大に進学。09年埼玉県庁に就職、現在は県立久喜高に勤務。自己ベストは2時間8分14秒で日本歴代20位台にとどまるが、実戦の勝負強さで知られる。2011、13、17年の世界選手権に出場。18年4月のボストン・マラソンでは優勝した。現在(18年11月末)までにフルマラソンレースを87回走り、うちサブ20(2時間20分切り)は82回で世界最多。12月2日には福岡国際マラソンに出場。19年4月からプロ転向予定。
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