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マラソンの川内さん、毎週レース「実は旅好きだから」 ボストン優勝、海外で挑戦さらに

2018/12/1

陸上漫画『奈緒子』に出てくる長崎・壱岐の猿岩をバックにポーズ(2017年1月)

2018年のボストン・マラソンで優勝した異色の公務員ランナー、川内優輝さん(31)。ほぼ毎週というハイペースでレースに出場することで知られる。これまで公には「実戦こそトレーニング」と説明してきたが、本音は違う。「旅行が好きで、いろいろなところを見て回りたいから」。何物にもとらわれない自由なスタイルが、悲壮感のない力走を生んでいる。

「旅行は好きですね。たくさんレースに出る本当の理由は、いろいろなところを観光したいからなんです。正直に言えなかったのは、最初はみな疑ってかかっていましたから。『こんなことしていたらいつか壊れる』とか、『おかしい』とか。そこで、ひねりだした理屈が『レースが練習』なんです」

18年4月のボストン・マラソンでは強豪を抑えて優勝し、世界の注目を集めた(ロイター)

「でもやっているうちに、確かにレースが練習になってきました。(通常の)練習ではレース並みのペースで走れませんよね。きょう(11月3日にゲストランナーとして出場した那須塩原ハーフマラソン)だってめちゃくちゃいいタイムではないですが、練習でやれといわれたら簡単にできません。もしレースがなければ、(練習がきつくて)悲壮感が漂っていると思います」

もともと川内さんはマラソンのエリートコースとは遠いところを歩んできた。高校時代はトレーニングのやり過ぎによる故障もあって、まったくの無名。進学先の学習院大で徐々に頭角を現し、箱根駅伝には関東学連選抜のメンバーとして2回出場した。

「初のフルマラソンは大学4年のときの別府大分毎日マラソンです。箱根を走ってから1カ月後でした。なぜ別府大分にこだわったかというと、九州に行ったことがなかったんです。旅行が好きなのに、高校の修学旅行には駅伝で行けなかったし、大学時代も基本ずっとマラソンでした。だから、どうしても九州に行きたいと……」

とはいえ、どんなに実績を積んだ長距離ランナーも初めてのフルマラソンのレースには入念に準備して臨むのが通例だ。当然、(川内さんが所属していた学習院大の)監督は首を縦に振らない。あきらめきれない川内さんは一計を案じた。

「3月の東京マラソンに出たい、それにはエリートの部の標準記録を切っておく必要がある、だから別府大分に挑戦したいと。監督からは『初マラソンでダメージが残るだろうから1週間くらい練習を休んでゆっくりしろ』と言ってもらえて、これはラッキーと思い、すぐに宿を押さえました」

「別府大分の後は船で四国に渡りました。実は、四国にも行ったことがなかったんです。道後温泉に泊まり、丸亀とか高松をぐるっと回って、さらに瀬戸大橋を渡って、倉敷に入り、岡山で後楽園も見て、大阪から夜行バスで帰ってきました。卒業旅行のようなものです」

■レース振るわないと観光むなしく

これまでに出場したフルマラソンは87回(18年11月末時点)。1年間に約10回のペースだ。ハーフなど短い距離を含めると、ほぼ毎週末に出場している。公務員としての仕事を抱えるなか、休みには限りがあるため、レース後には駆け足で定番のスポットを見て回る。

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