国公立合格3倍に 横浜市立南高、ユニーク英語で飛躍横浜市立南高校の三浦昌彦校長に聞く

3年生では海外研修旅行でカナダを訪問し、英語でプレゼンテーションするなどコミュニケーション力を高める。また、企業や宇宙航空研究開発機構(JAXA)から専門家を招いて講座を開くほか、東京ガスの工場や動物園のバックヤードなどの職業体験も実施。「将来の夢や働く自分の姿を想像させ、では何を勉強すればよいかと逆算して考えさせる」

難関校より本人が行きたい大学を優先

シンガポールでの海外研修=横浜市立南高校提供

高校では、国のスーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受けていることから、主に東南アジアの貧困問題や環境保全といった課題の解決策を研究させる。海外研修旅行はシンガポールを訪れ、日系企業などを訪問し、現地の実態も踏まえて最終的にリポートにまとめて発表する。志を持ったグローバル人材の育成が目標だ。

充実したカリキュラムにより、三浦氏ら教員が目指すのは「真の進学校をつくる」ことだ。難関校ばかりを受験させるのではなく、生徒が本当に行きたい「第1志望校」の合格に導くという意味を込めている。そのために、生徒が将来何を目指すのか、何を学ぶ必要があるか、一人ひとりに寄り添った指導を徹底する。

そんな教員の姿勢を示すエピソードがある。今春の卒業式は当初、3月1日を予定していたが、3年生の担任教員から「国公立の後期試験が終わった後に延ばしてほしい」との要望があり、16日に移したのだ。最後まであきらめず、志望校に挑む生徒を少しでも後押ししたい気持ちからだった。今後もこの日程を続ける予定だ。

中高一貫教育6年間の1クールが終わり、三浦氏が感じたのは「生徒が自分で自分の生き方を見つけることの大切さ」だという。厳しい受験競争を勝ち抜いた生徒の潜在能力は高い。半面、「親に言われるがまま、塾でおにぎり食べながら勉強してきて、自分では何も決められない子もいる」。6年間の学校生活で、自分で考える習慣を身に付けた生徒と、そうでない生徒では成長の度合いに大きく差がつくと話す。

この差を少しでも縮めるには、「教員のレベルアップと授業内容のさらなる充実が不可欠になる」。このため、来年度からは中3と高1の先生が相互に入れ替わって授業をする取り組みを始める予定。中学と高校の学習内容の違いを実際に体験することで、教える技術を高める目的だ。授業内容も、生徒同士が討論するだけでなく、教え合うことで定着率をより高めていく。

同校は新卒で初めて赴任する教員を多く受け入れている。「指導する力はベテランに劣るかもしれないが、新しいことにチャレンジする意欲は旺盛だ」と三浦氏は前向きに捉えている。子供たちとともに成長する教員のエネルギーが、公立校の新たな挑戦の原動力になっているようだ。

(村上憲一)

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