スーパー+レストラン=グローサラント お勧めの6品
「グローサラント」と呼ばれる業態が日本でも増えてきた。食料品中心のスーパーマーケットの「グローサリー」と「レストラン」を掛け合わせた造語だ。米国が発祥とされ、ホールフーズやウェグマンズといったスーパーが積極的に取り組んでいる。グローサラントではスーパーで販売する食材が使われることが多く、価格が比較的リーズナブルな点が魅力だ。日本のグローサラント店舗で必食メニューを紹介しよう。
最初は今年10月に千葉・新浦安にリニューアルオープンした「成城石井アトレ新浦安店」。成城石井のグローサラント型店舗としては2店目。駅ナカ店舗にレストラン「SEIJO ISHII STYLE」を設けた小型グローサラントで、ピザなどのメニューを店内や持ち帰りで楽しめる。
こちらの店内での必食メニューは「成城石井自家製ローストビーフ丼~九条葱(ネギ)~」(990円、税別)。肉がボリューム満点でご飯が見えないほどだ。黒毛和種とアンガス種のオーストラリア産プレミアム牛肉を使用し、セントラルキッチンで焼き上げた自家製ローストビーフを店内でカットして提供する。トッピングは九条ネギと成城石井オリジナルの卵「三重県産 伊賀國の赤玉」。それを自家製ソースで味付けしてある。
「ランチ・ディナーのピーク時間帯はローストビーフ丼を食べにいらっしゃるお客様で行列ができる状態が続いています。オープン以来、売り上げナンバーワンです」(SEIJO ISHII STYLEメニュー開発担当の水野翔太さん)
ローストビーフ丼にはイタリアチーズ(16カ月熟成グラナパダーノ)やウニなどをトッピングすることもできる。
成城石井の1店目のグローサラント型店舗は2017年9月に東京・調布に開業した「成城石井 トリエ京王調布店」だ。店内に設けたレストラン「SEIJO ISHII STYLE」ではハンバーガーやピザ、パスタなどを提供。メニューに使われているほとんどの食材を成城石井で販売する。
この店の必食は「フレッシュアボカドチーズバーガー」(990円、税別)。黒毛和牛100%のパティをぜいたくに2枚使い、濃厚なフレッシュアボカドやレタス、トマトなど成城石井の生鮮をフル活用している。ケシの実をまぶした自家製バンズも風味豊かだ。食べてみると見た目以上にボリュームがあり、かなりの満足感。コストパフォーマンスの良さを実感できる。
続いてオリーブオイル専門店のグローサラント型店舗を紹介する。フランスのオリーブオイルブランド「OLIVIERS&CO(オリヴィエアンドコー)」は18年1月、東京・銀座にグローサラント型店舗「OLIVIERS&CO GINZA」をオープンした。
店内にはオリーブオイルソムリエが常駐し、ショッピングスペースでは約20種類あるオリーブオイルをすべて試食できる。さらに、OLIVIERS&COの商品を使った料理を食べられるイートインスペースがある。
ここでは「週替わりランチ」(1200円、税別)をぜひ食べてほしい。OLIVIERS&COのオリーブオイルを使ったメイン料理、サラダとスープ、2種類のパンのセットで、オリーブオイルの多彩な味わいとおいしさを一気に楽しめるのが魅力だ。毎週楽しみに来るリピーターもいるという。
「メイン料理は仕込みの段階からOLIVIERS&COの商品をどう料理に生かすか考えています。サラダにも週替わりでオリジナルのオイル&ビネガーを提案し、スープにもオリーブオイルをかけてお召し上がりいただいております。バゲット付きなのでオリーブオイルを何種類も試すこともできます」と、OLIVIERS&COディレクターの炭本眞吾さんは話す。
10月には2店舗目となるグローサラント型店舗「OLIVIERS&CO EBISU」を東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイス内に開店。季節によって変わる総菜(デリ)を、店内のイートインスペースまたはテークアウトで楽しめる。
こちらの料理自体には、OLIVIERS&COの商品は使われていない。店内のテーブルにOLIVIERS&COの数種類のオリーブオイルとビネガーが置いてあり、自由に組み合わせてオリジナル調味料を作って料理にかけて楽しむ。お勧めの組み合わせやレシピが載ったパンフレットもある。
実際に料理と一緒にオリーブオイルを味わうことで、自分の食事スタイルや好みにマッチした商品を見つけることができるのがメリットだ。
中食専門の塚田農場プラスが展開するグローサラントにも注目メニューがある。同社では18年3月、東京・品川にあるアトレ品川3階の「FOOD&TIME ISETAN」フードコート内に、4店のグローサラント型店舗「CHICKEN NAN-BAR(チキンナンバー)」「Veggie(ベジー)」「T.N. MEAT WORKS(ティーエヌミート ワークス)」「よいのいき」をオープンさせた。
4店はメニューの一部に「FOOD&TIME ISETAN」内のスーパー「クイーンズ伊勢丹」から仕入れた食材や調味料を使用している。物販でも連携し、各店の店頭ではクイーンズ伊勢丹のプライベートブランド(PB)商品を販売する。各店舗で作った弁当や総菜をクイーンズ伊勢丹のデリカ売り場で販売もしているが、この食材はクイーンズ伊勢丹以外から仕入れたものも含むという。
塚田農場プラス代表取締役社長の森尾太一さんは「アトレ品川は立地特性から利用客が多種多様で、テークアウト需要も多い。そこで『クイーンズ伊勢丹』と併用してもらうことがフロア全体の回遊性を高め、施設としての価値を高めることにつながると考え、グローサラント形態としました」と語る。
今回は4店のうち、2店の必食メニューを紹介しよう。
まずは女性に大人気のサラダ専門店「Veggie」の必食メニューは「メキシカン・コブ」(900円、税別)。オリジナルサラダの中でダントツの1番人気だ。
タンドリーチキンやミックスビーンズ、アボカド、トルティーヤチップスなどが載ったボリューム満点のサラダで、オリジナルのコブドレッシングとも相性抜群。「ヘルシーなサラダでもお腹はいっぱいにしたい」という女性ニーズを満たすために開発したそうだ。
肉バル&総菜専門の「T.N. MEAT WORKS」で必食なのは「肉盛りプレート」(1980円、税別)。ブラックアンガスサーロインステーキ、グリルチキンサルサソース、農家のベーコン、ポテトフライの盛り合わせ。3~4人前のボリュームがあり、コストパフォーマンスも抜群。外国人やビジネスマンに特に人気だ。
グローサラントには厳密な定義がない分、様々なスタイルがある。一般的に食材仕入れのコストが抑えられるため、通常のレストランより手ごろな価格でおいしいものを食べられる。また、スーパーで気になる商品はあるものの、試食だけでは判断できないという人も、グローサラントをぜひ活用してみてほしい。
(GreenCreate)
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