2018/11/30

本日入荷 おいしい話

江戸川区でコマツナを栽培する門倉周史さんは、都内の農家に贈られる東京都知事賞を受賞したスゴ腕の農家だ。土作りと有機肥料を重視し、コマツナ本来のシャキシャキ感と臭みのなさにこだわる。近隣の飲食店などに卸すほか都心の料亭にも出荷している。

門倉周史さんは都知事賞を受賞した農家。土作りと有機肥料にこだわる

門倉さんは「絶対にサラダをメニューに入れて下さい、と頼んでいます」と笑う。コマツナの本来の味を感じてほしいからだ。門倉さんに勧められて畑で記者もコマツナを生で食べてみた。むしり取ったコマツナを口に入れると、茎から「プシュッ」と水気がほとばしる。茎のシャキシャキ感が鮮烈な印象を受ける。葉の部分をかみ続けると少し塩気があって、調味料など何もつけなくてもおいしい。初めてコマツナ本来の持ち味を堪能したというのが実感だ。

生産量は10年間で2割増

コマツナの生産量は全国的に伸びている。農林水産省によると、国内で野菜の生産量は17年までの10年間で10%減ったが、コマツナは同期間に21%増えた。生産量は多い順に茨城県、埼玉県、福岡県と続く。西日本地域でも栽培が進んできた。

背景にあるのはコマツナ消費の伸びだ。さわみつ青果北千住店(東京・足立)の根本祐一店長は「クセの少なさが消費者の心をつかんだ」と話す。ホウレンソウなどの葉物野菜はゆでないと食べにくいが、コマツナはアクや臭みが少なく、料理の用途を選ばない。生でも調理しても食べられる簡単さや汎用性の高さが食卓に定着してきた理由だ。

農家の高齢化で転作増も

担い手の高齢化もコマツナの生産量が増えている理由だ。茨城県のJAほこた(茨城県鉾田市)の担当者は「ダイコンやメロンなど重量が重い農作物からコマツナへ転作する農家が多い」と話す。

重量野菜の代表格であるダイコンは主に1本あたり1~2キロ程度で、高齢の農家に作業負荷がかかる。一方、コマツナは一束あたり300~500グラム前後と、軽く持ち運びしやすいのが支持されている。

また連作障害がなく作りやすいことも見逃せない。もともと冬場が旬の野菜だが、ハウス栽培では年間8回近く栽培できる生産効率の良さも特徴だ。

消費と生産の両面で支持されて、地味な印象だったコマツナが野菜や料理の主役へと成長中だ。万能野菜のコマツナを食卓で使ってみてはいかがだろうか。

(高野馨太)