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カリスマの直言

ゴーン・ショック 今こそ渋沢栄一の理念を(渋沢健) コモンズ投信会長

2018/12/3

5年ぐらい前は弊社が運用するコモンズ30ファンドに日産株を組み入れていた。ルノーとの車台の共有などの合理化、組織のダイバーシティー(多様性)に積極的に取り組んでいる経営への期待があった。ただ、ルノーとの株式の持ち合いや経営会議における意思決定の形態が複雑であるという課題もあった。

■ガバナンス強化のため取締役会改革を

日産から生じる利益を大株主が吸い上げ、少数株主が不利な状態に置かれていないか――。この疑念を国内やフランスでのヒアリング調査で払拭することができず、結局は売却した。端的にいえば、日産のガバナンス(企業統治)体制に確信が持てなかったのだ。

11月下旬にベトナムのビンズン新都市で開催された国際会議「Horasis Asia Meeting」に参加。「アジアの世紀の実現」と題された閉会会議に登壇した

ルノー、日産、そして三菱自動車のグローバルアライアンス(連合)の結束力と信用を高めるという意味で、今後のガバナンス強化は不可欠だ。今回の問題発覚により現在の日産の取締役会(不正容疑の中核となった2人を除き7人。うち生え抜き3人、ルノー出身者2人、社外2人)の体制が継続することに多くの少数株主が納得しないであろう。

トップの経営戦略のみならず、資質としてのintegrityもチェックできる新体制が必要だ。そのためには社外取締役が過半数を占めるような取締役会の改革が不可欠だ。少数株主の利益保護を図るという点で社外の取締役会議長がいればさらに好ましい。

今回の事件は株主、顧客のみならず、日産の価値創造を支える社員への背信行為だ。栄一が説いた「合理的の経営」により、失った信頼回復が急務である。これは問題が起きた日産だけでなく、多くの日本企業にとって共通した課題といえるだろう。

渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院修了。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に「渋沢栄一 100の金言」(日経ビジネス人文庫、16年)など。

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