前回掲載の「一番下のボタンは外せ 意外と知らない上着のマナー」から引き続き、スーツのボタンの留め方についてお話しします。前回は一番下のボタンを外す(unbutton)「アンボタンマナー」について、特にボタンを1列(シングル)に配置したシングル(正式にはシングルブレステッド)ジャケットのボタンの留め方について取り上げました。今回はボタンが2列(ダブル)になったダブル(ダブルブレステッド)ジャケットについてお話しします。
ジャケットやベストの一番下のボタンは留めないことが原則であり、ダンディーな男性社会では歴然としたルールです。
ある服飾評論家の方から、こんなお話を聞いたことがあります。「良い仕立てのスーツは、ジャケットの一番下のボタンだけ、布地に密着させている」というのです。
■いい仕立ては一番下のボタンでわかる?
通常、ボタンの糸付けはボタンホールをくぐらせやすいようにゆとりを持たせています。ところが、きわめて丁寧につくられたスーツやジャケットの一番下のボタンは、それとは逆に服地にぴったりと取り付けられているというのです。
アンボタンルールからすると、一番下のボタンをボタンホールにくぐらせることはありません。ですから、他のボタンと同じようなゆとりのある留めつけ方をしていると、ユラユラしてかえってじゃまです。ですから、一番下だけはぴったり縫い留めてあるというわけです。
そこまで考えて縫い留め方を変えているのなら、確かに丁寧な仕立てといえます。ジャケットを買い求める際は、ぜひ確認してみてください。
それでは、ボタンが2列(ダブル)になったダブル(ダブルブレステッド)ジャケットのボタンの留め方です。
■ダブルはシーンにも気をつけて
ダブルのジャケットは、従来のゆとりあるクラシックなものに加えて、昨今は細身で丈が短いスマートなタイプが人気です。
・4つボタン
4つボタンはボタンが4個ですが、留め方には「1つ掛け」と「2つ掛け」があります。
「1つ掛け」の場合、上は飾りボタンとなるので「下のボタンを留める」が正解です。
「2つ掛け」の場合は原則として「上と下を留める」になります。
一定以上の世代の方は「ダブルはボタンを全部留めないと、バランスが悪く、だらしない」と教わっているはずです。日本では礼服にダブルを着る人も多いので、そのときは全部留めるようにしたほうがいいでしょう。