新iPad、買うなら大小どちらか 津田大介の結論

もう一つ残念だったのは、Windowsとの連携だ。僕は外出先からもオフィスのWindowsパソコンにリモート接続している。こうすれば出張先でもほとんどの仕事が完結できる。iPadでも試してみたが、試用期間のあいだではうまくいくようにはならなかった。もちろんすべての方法を試したわけではないし、Windowsパソコンを使っていてもリモート接続をしていない人なら問題にならないだろう。ただ、僕が新型iPadを導入した場合でも、すぐにノートパソコンを持ち運ばなくてもよくなる、というわけではなさそうだ。

12.9インチの軽さは驚きだけど

いろいろ試用してみたが、結論としては、おそらく新型を買うことになるだろう。iPad ProとApple Pencilが仕事に欠かせない僕にとって、その点に関する今回の進化は大きかった。ただし、ノートパソコンをやめてiPadだけにするのは難しいとも実感した。iPadはキーボードをつけず単体で利用し、ノートパソコンも今と同じように持ち歩くというところに落ち着きそうだ。

そうなると、問題は11インチと12.9インチのどちらを選ぶか。

前にも書いたように実際に持った12.9インチは思った以上に軽かった。出張先のホテルなどで映画を見るときは、12.9インチの大きな画面は魅力的だろう。マンガを読むときも12.9インチなら見開きページをしっかりと表示できる(縦にしてマンガを読んでいたら見開きが出てきて戸惑ったという体験は、タブレットでマンガを読んだことがある人なら誰でもあるだろう)。もちろん写真なども大画面で見たほうが迫力は出る。

ただ、持ち運んだり外出先で赤入れをしたりするには、12.9インチはやや大きい気もしている。また、縦書きの小説や文章を読もうとすると、12.9インチでは一行が長くなりすぎて自然に読めないとも感じた。軽いとはいえ、大きさがあるので、電車に乗ったときなどに片手で扱うのも不安がある。

今のところは11インチに落ち着きそうだと思っているのだが、さてどうなるか。

軽さだけを求めるならモバイルノートも

最近では、前回(記事「キーボードは電子ペーパー 津田大介YogaBook試す」)紹介した775gの「YogaBook C930(Wi-Fi版)」のように、ノートパソコンでも1kgを切る軽い製品が次々登場している。11月8日に富士通が発売した「LIFEBOOK UH-X/C3」は698g。出先で持ち運ぶデバイスに軽さを求めるなら、タブレットと並んで十分選択肢に入ってくるだろう。

一方、タブレットもスペックが上がり、動画の閲覧やブラウジングなど、ほとんどの作業はストレスなくこなせる。動画の編集などヘビーな使い方をしない限り、パソコンとの差はほとんど感じない。そういう意味では、両者の境はなくなりつつある。

今後新しいデバイスを購入するときには、重さやスペックだけでなく、用途を明確にすることが、より大切になってくるだろう。実際、新モデルを試してみて、iPad Proだけで完全に仕事が回せる人もたくさんいるのだろうと感じた。ただ僕の仕事のやり方だと、どちらかに絞るのはまだ難しいと実感したのも事実だ。

とはいうものの、荷物は軽くなってほしいと常々思っているので、僕の使い方に合った理想のオールインワンデバイス探しは今後も続けるつもりだ。「タブレット=軽い」「ノートパソコン=仕事に必須」といった従来のイメージにはとらわれず、さまざまな機種を試していきたいと思っている。

津田大介
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年東京都生まれ。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。主な著書に「ウェブで政治を動かす!」(朝日新書)、「動員の革命」(中公新書ラクレ)、「情報の呼吸法」(朝日出版社)、「Twitter社会論」(洋泉社新書)、「未来型サバイバル音楽論」(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

(編集協力 藤原龍矢=アバンギャルド、写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

注目記事
今こそ始める学び特集