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バイオプラスチック、プラゴミ問題の決め手になるか

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ナショナルジオグラフィック日本版

プラスチックの代替品として、「バイオプラスチック」が注目されている。頭に「バイオ」と付くと地球に優しい製品のようだが、果たしてバイオプラスチックは環境問題に有効なのか? 石油由来のプラスチックと同じように便利に扱えて、かつ環境への負荷が少ない材料なのだろうか?

科学者やメーカー、環境の専門家が口をそろえて言うのが、バイオプラスチックの利点は、多くの仮説の上に成り立つものであり、一概に有効とは言えないということだ。

そもそもバイオプラスチックとは何だろうか?

バイオプラスチックとは単に、石油からではなく、植物などの生物由来原料から作られたプラスチックのことで、英語ではバイオベースプラスチックと呼ばれることも多い。

こうしたプラスチックには、トウモロコシやサトウキビのような植物から抽出した糖分を使ってつくられるポリ乳酸(PLA)や、微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などがある。PLAは食品包装に広く使われている一方、PHAは縫合糸や心臓血管用パッチのように医療用途で使われることが多い。

PLAはエタノールなどと同様に大規模工場で生産されるため、価格も安価で、ボトルや食器、繊維製品などに広く使われている。

炭素排出削減には有効そうだが

「植物由来のプラスチックについての議論は二酸化炭素排出の削減に効果があるかどうかというものです」とバイオプラスチックを研究する米ミシガン州立大学の化学工学者ラマニ・ナラヤン氏は言う。

世界の石油の約8%がプラスチック製造に使われている。バイオプラスチックを推進する人々は、この石油使用量を削減できることが、バイオプラスチックの大きな利点であると語ることが多い。この議論は、「バイオプラスチックを廃棄することで放出される炭素は、植物が成長する際に吸収した炭素を循環させているだけ」という考えに基づいている。つまり化石燃料を使うプラスチックに比べて植物由来のプラスチックのほうが、炭素の循環にかかる時間が短いため、大気中の二酸化炭素濃度への影響、ひいては地球温暖化に対する影響が少ないという考えだ。

「もう1つ有効とされる点は、植物バイオマスが再生可能だということです」とナラヤン氏は話す。「植物は世界中で栽培できるのに対し、石油が産出するのは一部の地域だけです。バイオプラスチックは地方の農業経済を支えています」

バイオベースプラスチックの評価には多くの要素を考慮に入れる必要があると、ジョージア大学の環境工学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(ナショジオ協会が支援する研究者)でもあるジェナ・ジャムベック氏は言う。「どこで栽培するのか? どのくらいの土地を使うのか? どのくらいの水が必要か? というようなことです」

バイオベースプラスチックが石油由来のプラスチックに比べて本当に環境に良いのかという問いには、「多くの仮説に基づいており、大きな疑問が残ります」同氏は話す。

「海へ流れ込んでも分解しない」

廃棄されたバイオプラスチックの処理方法は3通りが考えられる。埋め立て処分にするか、石油由来プラスチックと同様にリサイクルするか、堆肥化処理(コンポスト化)するかのいずれかである。

多くのバイオプラスチックは生分解性をもつため、堆肥化が可能だ。ただし堆肥化には、バイオプラスチックを十分高温にして、微生物が分解できるようにする必要がある。十分に加熱せずに、土に埋めたり家庭用堆肥化容器に入れたりしても、短期間では分解されない。バイオプラスチックが海に流れ込んでも、結末は石油由来プラスチックと同じだ。分解に何十年もかかるため、細かく砕けマイクロプラスチックになり、海洋生物を危険にさらすことになる。

「PLAはバイオプラスチックですが、流出しても海では生分解が起きません」とジャムベック氏は話す。「石油由来プラスチックとなんら変わりません。処理場で堆肥化できますが、もし町に処理場がなければ、なんの意味もないのです」

それでもバイオプラスチックを使うべきか?

米コロラド州にあるエコプロダクツ社は、米国最大手のバイオプラスチック・メーカーだ。同社は、米ネブラスカ州にある化学メーカーのネイチャーワークス社からトウモロコシ系のPLA原料を買っている。ネイチャーワークスは、家畜の飼料や甘味料、エタノールなども製造している。

バイオプラスチックの需要は増えつつあると、プラスチックの業界団体「プラスチック産業協会」のパトリック・クリーガー氏は言う。理由のひとつは、従来のプラスチックの代替品に対する消費者の関心が高まったこと、もう一つはより効率的な技術が開発されたことだ。

それでも、堆肥化処理場はまったく足りておらず、バイオプラスチックは、海に流入するプラスチックの削減にほとんど役に立っていないと環境保護の活動家は言う。

環境系非営利団体「ロンリー・ホエール」は2017年にシアトルでプラスチック製ストロー禁止運動を実施するなど、プラスチック問題に取り組んでいる。この取り組みの一環として同団体では、代替品としてバイオプラスチック製ストローを推奨すべきかを検討した。その結果、地元企業は堆肥化容器を持っていても、実際にそれを使ってバイオプラスチック製品を堆肥化したことはほとんどない、ということがわかった。

「堆肥化可能なプラスチックというアイデアは、特にシアトルのような地域では、とても面白いと思いましたが、結局はそれを使う人間次第なのです」と、ロンリー・ホエールの常任理事を務めるデューン・アイブス氏は語る。

適切な堆肥化インフラと消費者のノウハウがなければ、バイオプラスチック製品は、「グリーンウォッシュ」の一例に成り果ててしまう、と同氏は付け加える。グリーンウォッシュとは、あたかも環境に配慮している製品であるかのように消費者を誤解させる場合に、環境活動家が使う造語である。

「バイオプラスチック製品を買うと、環境に良い製品を買っているような気持ちになりますが、きちんとした設備やシステムが整っていないのが現状です」と同氏は話す。

生分解性製品と廃棄物インフラの整備を推進するために設立された非営利団体「生分解性製品協会(BPI)」は、バイオプラスチックと工業的な堆肥化には、まだまだ開発の余地があると見ている。

「堆肥化とは本質的に地産地消なのです」とBPIの常任理事ロードス・イェプセン氏は話す。「他国に食品廃棄物を輸出するなんて馬鹿げています。すぐに腐敗するし、水が主成分なので、重くて扱いにくいからです」

リサイクルは非効率的な場合が多く、世界中で生産されたリサイクル可能材料の回収率は5分の1未満だ、とイェプセン氏は指摘する。

「人間が排出する廃棄物の半分は、食品や紙のような生分解性廃棄物です」とBPIの科学顧問も務めるナラヤン氏は言う。埋め立て処分場を完全に廃止し、より健全な廃棄物回収に移行するべきだと同氏は考えている。「埋め立て処分場は言うなれば墓地です。ごみを保存しているだけです。なんの問題解決にもなりません」

いかなるプラスチックも含まない、持続可能な代替材料を作り出すチャンスは今だとアイブス氏は指摘する。「この分野は今、起業や投資の段階です。土地や食糧生産システムに過大な負荷を与えない海洋分解性の代替材料の開発には、無限のチャンスが秘められています」

(文 SARAH GIBBENS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年11月20日付]

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