バイオプラスチック、プラゴミ問題の決め手になるか

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/12/3

それでもバイオプラスチックを使うべきか?

米コロラド州にあるエコプロダクツ社は、米国最大手のバイオプラスチック・メーカーだ。同社は、米ネブラスカ州にある化学メーカーのネイチャーワークス社からトウモロコシ系のPLA原料を買っている。ネイチャーワークスは、家畜の飼料や甘味料、エタノールなども製造している。

バイオプラスチックの需要は増えつつあると、プラスチックの業界団体「プラスチック産業協会」のパトリック・クリーガー氏は言う。理由のひとつは、従来のプラスチックの代替品に対する消費者の関心が高まったこと、もう一つはより効率的な技術が開発されたことだ。

それでも、堆肥化処理場はまったく足りておらず、バイオプラスチックは、海に流入するプラスチックの削減にほとんど役に立っていないと環境保護の活動家は言う。

環境系非営利団体「ロンリー・ホエール」は2017年にシアトルでプラスチック製ストロー禁止運動を実施するなど、プラスチック問題に取り組んでいる。この取り組みの一環として同団体では、代替品としてバイオプラスチック製ストローを推奨すべきかを検討した。その結果、地元企業は堆肥化容器を持っていても、実際にそれを使ってバイオプラスチック製品を堆肥化したことはほとんどない、ということがわかった。

「堆肥化可能なプラスチックというアイデアは、特にシアトルのような地域では、とても面白いと思いましたが、結局はそれを使う人間次第なのです」と、ロンリー・ホエールの常任理事を務めるデューン・アイブス氏は語る。

適切な堆肥化インフラと消費者のノウハウがなければ、バイオプラスチック製品は、「グリーンウォッシュ」の一例に成り果ててしまう、と同氏は付け加える。グリーンウォッシュとは、あたかも環境に配慮している製品であるかのように消費者を誤解させる場合に、環境活動家が使う造語である。

「バイオプラスチック製品を買うと、環境に良い製品を買っているような気持ちになりますが、きちんとした設備やシステムが整っていないのが現状です」と同氏は話す。

生分解性製品と廃棄物インフラの整備を推進するために設立された非営利団体「生分解性製品協会(BPI)」は、バイオプラスチックと工業的な堆肥化には、まだまだ開発の余地があると見ている。

「堆肥化とは本質的に地産地消なのです」とBPIの常任理事ロードス・イェプセン氏は話す。「他国に食品廃棄物を輸出するなんて馬鹿げています。すぐに腐敗するし、水が主成分なので、重くて扱いにくいからです」

リサイクルは非効率的な場合が多く、世界中で生産されたリサイクル可能材料の回収率は5分の1未満だ、とイェプセン氏は指摘する。

「人間が排出する廃棄物の半分は、食品や紙のような生分解性廃棄物です」とBPIの科学顧問も務めるナラヤン氏は言う。埋め立て処分場を完全に廃止し、より健全な廃棄物回収に移行するべきだと同氏は考えている。「埋め立て処分場は言うなれば墓地です。ごみを保存しているだけです。なんの問題解決にもなりません」

いかなるプラスチックも含まない、持続可能な代替材料を作り出すチャンスは今だとアイブス氏は指摘する。「この分野は今、起業や投資の段階です。土地や食糧生産システムに過大な負荷を与えない海洋分解性の代替材料の開発には、無限のチャンスが秘められています」

(文 SARAH GIBBENS、訳 牧野建志、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年11月20日付]

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