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バイオプラスチック、プラゴミ問題の決め手になるか

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/12/3

ナショナルジオグラフィック日本版

バイオプラスチックは、ストローや食器のような使い捨てプラスチック製品の代替材料として普及しつつある(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE AND MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC)

プラスチックの代替品として、「バイオプラスチック」が注目されている。頭に「バイオ」と付くと地球に優しい製品のようだが、果たしてバイオプラスチックは環境問題に有効なのか? 石油由来のプラスチックと同じように便利に扱えて、かつ環境への負荷が少ない材料なのだろうか?

科学者やメーカー、環境の専門家が口をそろえて言うのが、バイオプラスチックの利点は、多くの仮説の上に成り立つものであり、一概に有効とは言えないということだ。

そもそもバイオプラスチックとは何だろうか?

バイオプラスチックとは単に、石油からではなく、植物などの生物由来原料から作られたプラスチックのことで、英語ではバイオベースプラスチックと呼ばれることも多い。

こうしたプラスチックには、トウモロコシやサトウキビのような植物から抽出した糖分を使ってつくられるポリ乳酸(PLA)や、微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)などがある。PLAは食品包装に広く使われている一方、PHAは縫合糸や心臓血管用パッチのように医療用途で使われることが多い。

PLAはエタノールなどと同様に大規模工場で生産されるため、価格も安価で、ボトルや食器、繊維製品などに広く使われている。

■炭素排出削減には有効そうだが

「植物由来のプラスチックについての議論は二酸化炭素排出の削減に効果があるかどうかというものです」とバイオプラスチックを研究する米ミシガン州立大学の化学工学者ラマニ・ナラヤン氏は言う。

世界の石油の約8%がプラスチック製造に使われている。バイオプラスチックを推進する人々は、この石油使用量を削減できることが、バイオプラスチックの大きな利点であると語ることが多い。この議論は、「バイオプラスチックを廃棄することで放出される炭素は、植物が成長する際に吸収した炭素を循環させているだけ」という考えに基づいている。つまり化石燃料を使うプラスチックに比べて植物由来のプラスチックのほうが、炭素の循環にかかる時間が短いため、大気中の二酸化炭素濃度への影響、ひいては地球温暖化に対する影響が少ないという考えだ。

「もう1つ有効とされる点は、植物バイオマスが再生可能だということです」とナラヤン氏は話す。「植物は世界中で栽培できるのに対し、石油が産出するのは一部の地域だけです。バイオプラスチックは地方の農業経済を支えています」

バイオベースプラスチックの評価には多くの要素を考慮に入れる必要があると、ジョージア大学の環境工学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(ナショジオ協会が支援する研究者)でもあるジェナ・ジャムベック氏は言う。「どこで栽培するのか? どのくらいの土地を使うのか? どのくらいの水が必要か? というようなことです」

バイオベースプラスチックが石油由来のプラスチックに比べて本当に環境に良いのかという問いには、「多くの仮説に基づいており、大きな疑問が残ります」同氏は話す。

■「海へ流れ込んでも分解しない」

廃棄されたバイオプラスチックの処理方法は3通りが考えられる。埋め立て処分にするか、石油由来プラスチックと同様にリサイクルするか、堆肥化処理(コンポスト化)するかのいずれかである。

多くのバイオプラスチックは生分解性をもつため、堆肥化が可能だ。ただし堆肥化には、バイオプラスチックを十分高温にして、微生物が分解できるようにする必要がある。十分に加熱せずに、土に埋めたり家庭用堆肥化容器に入れたりしても、短期間では分解されない。バイオプラスチックが海に流れ込んでも、結末は石油由来プラスチックと同じだ。分解に何十年もかかるため、細かく砕けマイクロプラスチックになり、海洋生物を危険にさらすことになる。

「PLAはバイオプラスチックですが、流出しても海では生分解が起きません」とジャムベック氏は話す。「石油由来プラスチックとなんら変わりません。処理場で堆肥化できますが、もし町に処理場がなければ、なんの意味もないのです」

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