本×宿で浸る非日常 ブックホテルでお好みセレクト

「泊まれる本屋」の先駆けとなったのが、不動産仲介のアールストア(東京・品川)が手掛けるホステル「BOOK AND BED TOKYO」だ。2015年11月に東京・池袋に1号店を開業し、6号店が開店目前だ。

東京都新宿区に5月にオープンした新宿店のラウンジに入ると、部屋の幅ほどある巨大な階段状の本棚が目につく。舞台のような作りになっていて、本棚の上を歩きながら本を見つける楽しみがある。

本棚の上を歩けるBOOK AND BED TOKYO 新宿店

館内の本約2500冊の選択は、東京・渋谷にある本のセレクトショップ「シブヤパブリッシング&ブックセラーズ」に依頼している。販売はしていないが、本はどれでも客室に持ち込める。「好きな本を読みながら眠りに落ちる幸せを体験できる」と、同社の力丸聡新規事業部長は特徴を説明する。「住まいが近くにあったとしても泊まりに来たくなる非日常」を意識していて、実際に約3分の1が近場からの利用客だという。

本と旅は相性良く

新宿店には、本棚の中に寝室が埋め込まれたようなタイプを中心に客室が55ある。宿泊をせずに昼間に利用することや、併設カフェのみの利用も可能だ。曜日や部屋のタイプによって異なるが、宿泊料金は1泊5300円からと手ごろだ。客室の稼働率は年間9割を超え、外国人訪日客の利用も多い。

一方、2月に名古屋市中区に開業した「ランプライトブックスホテル名古屋」は、出張のビジネスパーソンが気軽に泊まれるブックホテルだ。運営はソラーレホテルズアンドリゾーツ(東京・港)で、1階の24時間営業のブックカフェでは「旅」と「ミステリー」のジャンルを中心に約3000冊を販売している。申告すれば購入せずに1冊を客室に持ち込める。

同社広報担当の増井香織氏は「旅と本は相性がいい」と話す。最近は電子書籍を持ち歩く人も多くなっているが、「ここではアナログの本に触れる心の余裕を持ってほしい」という。仕事で遅くなっても、本を片手にほっと一息つける空間を提供する。

昨今の出版不況により、書店は変化を迫られている。「本」と「宿」をかけ合わせた非日常的な空間を提供するブックホテルは、新しい形の本屋として注目されそうだ。

(企業報道部 北戸明良)

[日本経済新聞夕刊2018年11月24日付]

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