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年金繰り下げ受給の損得 手取りだとこう変わる

2018/12/2

ところが年金繰り下げを選んで受給額面が増えると、結果的に非課税の対象から外れ、これらの恩恵がなくなることがある。その場合は繰り下げはせずに本来の年齢から受け取るというのも一つの選択肢。非課税の基準は自治体の税金窓口に聞けば教えてくれる。

もっとも、図Bにある地域指定は見直しが予想されるほか、公的年金等控除額は将来、段階的に削減される可能性があり、非課税の基準は変化しやすい。過度にこだわらず、繰り下げによって年金収入を一生増やせる利点と併せて判断したい。

迷ったときは「年金は本来、長生きリスクに備える保険」という基本に立ち返りたい。長寿化により老後期間は長くなっている(図C)。1960年生まれ(現在58歳)の男性は38%の確率で90歳まで生き、他の世代もほぼ同様だ。

当面の生活資金を確保しているならやはり、年金は繰り下げて金額を増やすほうが将来の安心につながる。寿命が男性より長い女性は特に「繰り下げが有利になりやすい」(社会保険労務士の小野猛氏)。

年金は自分で請求しない限り原則、給付は始まらない。事前に繰り下げる期間を決める必要はないので、65歳以降も生活に余裕がある間は請求を先送りするのも手だ。必要になったときに申請すれば年金は増額されて給付が始まる。また、それまでの期間に受け取るはずだった金額を一括して請求することも可能。年金額は増えないが、一度にまとまった資金を確保できるので覚えておきたい。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2018年11月24日付]

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