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修行時代支えた師匠の「ええもん」 オール巨人さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

1980年代の漫才人気を支えた重鎮、オール巨人さん。漫才師のバラエティータレント化が進み、芸人の徒弟制度も揺らぐ中、厳しさと優しさを併せ持つ「師匠」を体現する。家業ゆかりのかつお節と卵が育んだ大柄な体に、繊細な気配り。今なお、芸の道を歩み続ける。

かつお節めぐり紳助さんと口論

高知出身の父が大阪の台所、黒門市場(くろもんいちば)でかつお節屋を営んでいた。「家はかつお節だらけで、ようけ食べた。相当カルシウムをとったと思うよ」。反動で今は苦手。お好み焼きでもたこ焼きでも外してもらう。同期の明石家さんまさんや島田紳助さんとお好み焼き屋に行った時も、かつお節の扱いで口論に。「紳助は『お前とは一生お好み焼き食わん』と言って帰った」

家業が鶏卵問屋に転じると、今度は「卵をぎょうさん食べるようになった」。こちらは今も大好物。「安くて栄養もある。ほめてあげて」。高校の弁当は半分が米、半分が卵焼き。「友達に『どこの国旗や』と言われてた」。ただ、ゆで卵だけは家で食べた記憶がない。殻が割れていない卵は大切な商品。食卓には巡ってこなかった。

たまに父が手に入れる鶏のすき焼きは絶品だったが、普段は従業員のまかないと同じ質素な食事。それでも米だけは大きな茶わんで毎食3杯は食べた。中学3年で身長が180センチほどになっていた。

師匠の苦手な「ええもん」ちゃっかり

子供の頃から歌手に憧れ、家業を手伝いながらアマチュアでテレビの演芸番組に出演。1974年、吉本新喜劇の人気者、岡八郎(当時)に弟子入りした。自宅に送る時は「ええもん」のご相伴に預かるチャンス。すき焼き食べたい、フグ食べたい、と師匠が言えば、午前様でも食卓に並んだ。「さすが師匠の奥さん。うちの嫁にも試してみたけど、何も出てこなかった」

知恵を巡らせて「ええもん」を引き寄せる技も身につけた。すしの出前を頼むとき、師匠が苦手なハマチをさりげなく混ぜる。師匠はハマチだけでなく、風味が移っていると気にして周りの2、3貫も手を付けない。その分をいただくのは弟子の自分というわけだ。「わしはハマチが食えへん言うたやろ」。師匠の機嫌を損ねても、3回に1回はハマチ入りを頼んだ。「師匠は気付いていたと思います」

芸も食も師匠に教わったが、「彼女さん」宅で出された炊き込みご飯は苦い思い出。「ご飯にしょうゆ入れて混ぜただけなんちゃう?」。師匠が一杯も食べない分、弟子が食べなければいけなかった。

相方といえば車中のおかき

75年、オール阪神・巨人を結成、正統派しゃべくり漫才で早くから売れっ子に。「稼いでいるようでも、そんな稼いでなくてね。(80年代の)漫才ブームの時も若かったから」。牛丼や店屋物を慌ただしくかき込みながら、漫才界で地位を築いていく。相方とは好みの違いもあって食の思い出は少ないが、例外は新幹線の車中のおかき。「阪神君がいつもおかきを持っていて。いい匂いがするなあ、と思うとおかき食べてるんで、それくれ、言うてね」

2010年から1年半、C型肝炎の治療に取り組んだ。薬の副作用で味覚が変わり、辛い物が全く駄目になった。食欲も激減。うどんとさび抜きのすしの毎日で、体重も10キロ落ちた。完治した今は食欲も戻った。学生時代に柔道、ゴルフはプロ級のスポーツマン。気付けば自宅でトレーニングに励む。「75歳になっても力強いですね、体形変わらないですね、と言われたい」

礼儀に厳しい昔気質の印象が強いが、後輩を思う愛情は深い。漫才コンテスト「M-1グランプリ」の審査で、敗者復活から優勝したサンドウィッチマンを「なぜ決勝の舞台に敗者復活でなしに残ってへんのか」と絶賛したのは語り草。耳鳴りの症状が出た年は「後輩の人生がかかっているのに聞きそびれるわけには」と審査員を辞退した。

筋が通らないことは大嫌いだ。最近、自宅近くの料理屋でイヤな思いをした。ビール1本、焼酎1杯、イカのお造りとカキフライで4000円。店を出て「待てよ」。料理1700円、ビール700円、焼酎600円、突き出し300円。記憶と相場ではじいた勘定は3300円。「戻るわけにもいかんしね」。今度また行って同じ物を頼んでやろうと思うてます、と笑う。

高い店にも行くが、値段の高い安いではない。計算が合わないと、おかしいな、となる。「人を見て金を取る店もあるけど、それは絶対したらあかん」。芸も食も道を外れてはいけない。そんな姿勢が大御所の威厳を保つ。

締めはカレーラーメン

大阪市北区の天五中崎通商店街にたたずむ居酒屋「竹乃膳」(電話06・6372・4406)。日が昇ってもやっている分、営業開始は午後7時から。メニューはざっと200種類。締めの店の、締めのメニューはカレーラーメンだ。「ただのラーメンだともう一つ食べたくなるが、カレーラーメンだと、これにさらに、とはならない」

「前は生意気に北新地でも飲んだ」というが、最近は庶民的な天満や天六で飲む機会も増えた。「そうなると竹乃膳に寄った方が帰りのタクシーに乗りやすいし、経路的にも少し安い」

一緒に飲んでいた先輩の落語家が、初対面の客の女性と店内で互いのジーンズを交換したというエピソードも。巨人さんの名誉のために言うと本人は「気さくで、きれいな飲み方」(店主の松本康弘さん)だという。

最後の晩餐

すしかなあ。おやじに初めて、場内のすし屋に連れていってもらった時、おいしいと思ったなあ。握りから食べたいね。イカとウニと、旬の物。1人でええんちゃう。カウンターで横に並んでも話しにくいし。目の前の板前さんとしゃべってるのが楽しいですよね。

(嘉悦健太)

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