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健保、退職後の選択肢は3つ 継続・国保・家族の扶養 保険料などを比較、任意継続なら20日内に手続き

2018/12/1

写真はイメージ=PIXTA

定年などで会社を退職すると、勤務先で加入していた健康保険の資格を失うことになります。それまでと同じように病院で診察や治療を受けるには、どこかの健保に入らなければなりません。どんな選択肢があるのでしょうか。

継続雇用や再就職などで会社員として引き続きフルタイムで働くなら、その会社の健保に入ることになります。短時間勤務でも、週20時間以上、月額賃金8.8万円以上などの条件を満たせば加入できます。この基準を満たさずに働くか、もう働かないというのであれば、自分で加入先を選ぶことになります。

選択肢は(1)退職前に加入していた健保を任意継続する(2)国民健康保険に加入する(3)会社員の配偶者や子どもがいれば、その勤め先の健保の被扶養者になる――の3つです。

(1)の任意継続は、退職前に加入していた健保組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)で2年間加入することができる制度です。退職日までに継続して2カ月以上の被保険者期間があることが条件なので多くの人が該当します。傷病手当金などは出ませんが、ほぼ変わらない保険給付を受けることができます。

■任意継続、保険料は全額自己負担に

変わるのは保険料です。退職前は会社と折半していましたが、任意継続は全額自己負担で基本は2倍に上がります。退職前の月収(標準報酬月額)などを基に金額を決めますが、極端な高額にならないよう上限も設けています。原則、2年間加入し続けます。

注意したいのは手続きの期限です。社会保険労務士の上野香織氏は「退職日の翌日から20日以内。遅れると継続できなくなる」と指摘します。

(2)は主に自営業者やフリーランスらが加入する国保に、住まいのある市区町村で加入します。保険料は前年の所得や世帯人数などに応じて市区町村が独自に算出するので、居住地によって異なります。

■子の扶養、年収180万円未満が条件

選択のポイントはまず、毎月納める保険料です。3つの中では(3)の被扶養者になるのが負担がゼロで最も有利です。ただし、年金などを含めて年収180万円未満(60歳以上)といった基準に沿って、各健保で扶養の条件を定めているので誰でもなれるわけではありません。

国保は退職前の所得水準が反映されるので1年目は保険料が高くなる傾向があります。一般に任意継続のほうが負担が少なくて済むといわれますが、居住地などの条件によっては国保のほうが有利になることもあります。

上野氏は「保険料に加えて家族の状況や利用できるサービスも考えて選びたい」と言います。任意継続では被扶養者の保険料はゼロですが、国保は家族がいればその分の保険料もかかります。また、健保組合によっては有利な付加給付や福利厚生の制度を利用できる場合もあります。

任意継続の後はどうなるのでしょう。健保組合では、さらに年長の退職者(老齢厚生年金の受給権者)も入れる「特例退職被保険者制度」を設けているところもありますが、制度のある組合は少数です。後期高齢者医療制度の対象となる75歳まではどこかの健保に入る必要があるので、継続終了後は多くが国保に加入することになりそうです。

[日本経済新聞朝刊2018年11月24日付]

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