「新しい期の始まりで組織のメンバーも変わったばかり。そんな重要な時に管理職のメンツを潰してしまった。今思うと完全に私が悪かった」。とはいえ、素直に謝罪する機会も作れないままにどんどん関係は悪化。ついには重要な仕事はひとつも与えられなくなり、居づらくなったCさんは胃潰瘍で1週間入院するようなことにまでなりました。

最後は奥さんから「とにかく健康でいてほしい。体を壊すような会社は辞めてほしい」と懇願されて、退職を選ぶことになったそうです。

◆ケース4.あと一歩の昇進ができず会社に失望

出世の道が絶たれたと知ったときのショックは大きい。写真はイメージ=PIXTA

大手自動車部品メーカーで、購買や営業などを歴任していたDさん(47歳)は、30代前半に海外支社へ赴任後の活躍で社内評価が高まり、北米やシンガポール、欧州などの拠点で異動を繰り返し、2年ごとの辞令のたびに昇進していくという、まさに幹部候補の道を突き進んでいました。リーマン・ショックの苦境も乗り越え、まさに自己貢献感を強く感じられるやりがいの多い日々を過ごしていました。

しかし、4年前に自分の管轄する支社で発生した不祥事をきっかけに、ポジションが停滞。同期の出世頭だったはずが、いつの間にか平凡な役割になってしまいました。「取締役は無理でも、せめて事業部長は狙いたいと思っていましたが、ある時、担当役員と話しているときに、それもかなわぬ夢だということが見えてしまったんです。そこからは完全に吹っ切れました」

Dさんは今、全く別世界だったウェブ動画サービスのベンチャー企業で、プレイング営業本部長として活躍しています。

退職の決断タイミングは、自己充足感で判断すべし

「辞めたいという気持ちは単なる自分のわがままではないのか?」
「もう少し頑張れば、また道は開けるかもしれない」
「一時、苦しくても、こんなに長く世話になった会社に後ろ足で砂をかけたくない」
「退職するにしても、時期尚早なのではないか?」

長年所属してきた会社、経験を積み上げてきた仕事、慣れ親しんできた仲間たち、いい転職先が見つからないかもしれない不安、家族や住宅ローンなどの責任……。「会社を辞めたい」と思っても、様々な思いや不安が頭の中をかけめぐり、判断に自信が持てなくなるという状況は当然のことです。

しかし、多くの方々の転職相談でお話を伺ってきた立場としては、「本当に決断を急ぎすぎていないか。自分の甘えではないか」と自分自身を疑う状態になっている方は、実際に転職すべきタイミングを迎えていると感じることがほとんどです。

40歳を過ぎて転職をする場合、早すぎる退職決断や、退職後の甘い見通しは命取りになりますが、決断が遅すぎても、チャンスをつかみづらくなるリスクがあります。

仕事を通じていかに自分自身が充足できているか、そして、その状態がどれだけ長く続けられそうか、ということは、最重要な判断基準です。転職はリスクの塊ですが、自分にとって大切なチャンスでもあります。自分にとって必要十分なベストタイミングを見きわめて、1分1秒でも長く、楽しく働ける時間をキープし続けていただければと思います。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。この連載は3人が交代で執筆します。

黒田真行
ルーセントドアーズ代表取締役。日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」(【関連情報】参照)など。「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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