検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

ふっくらジューシーなハンバーグ 裏技は「牛乳洗い」

土屋敦の男の料理道(2)

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

家庭料理の定番の一つ、ハンバーグはどうやったらおいしく作れるのか……。私はこのテーマの検証を重ねてきたが、今回はこれさえ押さえれば、ハンバーグがふっくらとジューシーに仕上がるという裏技を伝授する。

「ふっくらジューシー」を実現する裏技は「牛乳洗い」である。ひき肉を、人肌程度あたためた1カップ程度の牛乳で洗うのだ(牛乳を加熱しすぎると、ひき肉のタンパク質が変性して粘りがなくなり、ハンバーグを成形できないので注意)。二度洗いすればなお良いが、ちょっともったいない。1回でも劇的に美味になるはずだ。

では、なぜ、牛乳で洗うとハンバーグがおいしくなるのか。

牛乳は肉を臭みを取るという話を聞いたことがある人は多いかもしれない。しかし、なぜ臭みが取れるのかを知る人は少ない。私自身、さまざな資料を調べてみたが、明確な答えを見つけることはできなかった。

以下は、私の臆測であるが、牛乳の脂分が臭み取りに大きな役割を果たしているのではないかと考えている。

まず、肉に臭みが出る最大の要因は、肉から出るいわゆる「アク」に由来する臭みである。では、アクは何でできているのか。肉から出る古くなった血液などのドリップが凝固したものなどと言われることがあるが、実は肉を煮て取り出したアクを分析してみると、そのほとんどが脂に由来するものなのだ。

つまり「臭い脂」をうまく取り除けば、ひき肉の臭みは減る。それを利用したのが、サラダ油でひき肉を一度あえることで臭みを取るという方法である。これは科学調理で知られる水島弘史シェフが考案した方法で、温めた油にひき肉を入れて混ぜてから油を切ると、油に臭みがどんどん溶け出し、驚くほど臭みが抜けるのだ。

ただ、残念ながらハンバーグには応用できない。まず肉の色が少し変わるぐらいまで加温するので、生肉のように粘りのある肉だねが作れない。油の温度を低くしてみたが、その場合も、油をうまく切ることが難しく、肉が油まみれとなっておいしいハンバーグは作れなかった。水島シェフ自身もハンバーグにはこの手法を使っていない。

牛乳は、水分に脂などの細かい粒子が浮いたコロイド溶液だ。牛乳が白く見えるのも、脂肪球が可視光を反射しているからである。この脂肪は冷たい牛乳では個体だが、体温ほどの温度(37℃くらい)で液体になる。そこに肉の臭い脂が溶け出し、臭みが抜けるのではないか、と私は思っている。

牛乳の脂肪分に臭みの原因である肉のアクが移る。それを洗い流せば、臭みも一緒に洗い流されるのだ。

また、牛乳に含まれる乳酸には、肉を軟らかくする効果がある。それが、肉をふっくらと軟らかくさせている可能性もあるだろう。非常に手間はかかるが、肉を牛乳に一晩漬け、それからひき肉を作ると、その効果を実感できる。ただ、手間も時間もかかり、特別な道具も必要なので、家庭でそこまでするのは難しいだろう。

牛乳洗いはひき肉をぐっとおいしくする。あとは、余計に調味料などは入れず、なるべくシンプルに作ればいいだろう。ほかに使う材料は、タマネギ、麩(ふ)、塩と焼く際に使う油ぐらい。もちろんナツメグやコショウを好みで入れてもいい。

麩もハンバーグをよりふっくらジューシーにするための材料だ。肉汁を吸い、ハンバーグをジューシーな状態でキープするのに役立つのである。

普通は麩ではなく、パンやパン粉を入れるだろう。だが、これらはイースト臭さがあって、余計な味がする。一方麩は小麦粉由来のグルテンのみなので、ハンバーグの味の邪魔をせず、ふっくらとした仕上がりにすることができるのだ。

タマネギはすりおろして使う。みじん切りを直接肉だねに入れてしまうと焼き上がったときもまだ生っぽく口当たりも悪い。かといってタマネギのみじん切りをいためてから使うと、生のタマネギに含まれる肉を軟らかくする酵素や、肉と相性の良い香気成分が失われてしまうのだ。

タマネギをいためたほうが甘くなってハンバーグがおいしくなるのではないか、と思う人もいるかもしれないが、実は、「タマネギはいためると甘くなる」という認識自体が誤りだ。タマネギの甘さは生でもじっくりいためても、まったく変わらない。生のときは、硫黄化合物(この硫黄化合物、タマネギを切ると発生する酵素と作用して涙を出させる物質だ)の刺激臭に甘さがマスキングされ、感じにくくなっているだけなのである。

だから、生をすりおろしたものをひき肉に混ぜててもタマネギ本来の甘さが生きる。そして、タマネギをすりおろす過程とハンバーグを焼く過程で、揮発性の硫黄化合物がある程度抜ける。それによってほどよい甘さとほどよい香気がハンバーグに付加されるのだ。

さて、いよいよ肉だねを作ろう。牛乳洗いしたひき肉と塩をすり鉢に入れて、すりこぎで突くようにして練る。これでタンパク質やDNAが絡み合い、粘りが出る。すりこ木が肉に吸いつくようになったら、すりおろしたタマネギ、砕いた麩を入れてさらによく混ぜる。

ハンバーグの成形も、丁寧にやりたいところだ。手にサラダ油をつけて小判形にまとめるが、このとき、表面をなめらかにして、ひび割れがないようにするのがポイントだ。ひび割れがあると焼いているうちにそこから肉汁が流れ出してくる。

弱めの中火でじっくり焼き、焼き色がついたら裏返す。弱火にし、蓋をして火を通す。竹串を刺して出てくる液が透明だったら火が通っている。

フォークやナイフで押さえるだけで、じゅわっと肉汁があふれ出す、超ジューシーなハンバーグの完成である。

それでは、最後にハンバーグをふっくらジューシーに仕上げるレシピをまとめておこう。ぜひ、試してほしい。

<材料:2人前>
牛豚合いびき肉 200グラム / タマネギ 4分の1個 / お麩 1つかみ / 牛乳 30ミリリットル / サラダ油 大さじ1 / 塩 小さじ2分の1弱 / ナツメグ・コショウ 適量
<作り方>
(1)ひき肉をボウルに入れ牛乳を入れてよくかき混ぜ、ザルに上げて牛乳を切る
(2)タマネギはすりおろし、麩はビニール袋などに入れてすりこ木でたたいて細かくする
(3)すり鉢に(1)と塩を入れてすりこぎに突くように練り、さらに(2)と、好みでナツメグ、こしょうを入れてよく混ぜる
(4)小判形に形を整え、サラダ油を引いたフライパンに乗せ、弱めの中火にかける
(5)焼き色がついたら裏返し、蓋をして火を通す。竹串を刺して透明な液が出てきたら完成
土屋 敦

ライター 1969年東京都生まれ。慶応大学経済学部卒業。出版社で週刊誌編集ののち寿退社。京都での主夫生活を経て、中米各国に滞在、ホンジュラスで災害支援NGOを立ち上げる。その後佐渡島で半農生活を送りつつ、情報サイト・オールアバウトの「男の料理」ガイドを務め、雑誌などで書評の執筆を開始。著書に『男のパスタ道』『男のチャーハン道』(いずれも日本経済新聞出版社)など

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_