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食の達人コラム

ふっくらジューシーなハンバーグ 裏技は「牛乳洗い」 土屋敦の男の料理道(2)

2018/11/28

ジューシーな肉汁があふれているハンバーグが完成

家庭料理の定番の一つ、ハンバーグはどうやったらおいしく作れるのか……。私はこのテーマの検証を重ねてきたが、今回はこれさえ押さえれば、ハンバーグがふっくらとジューシーに仕上がるという裏技を伝授する。

「ふっくらジューシー」を実現する裏技は「牛乳洗い」である。ひき肉を、人肌程度あたためた1カップ程度の牛乳で洗うのだ(牛乳を加熱しすぎると、ひき肉のタンパク質が変性して粘りがなくなり、ハンバーグを成形できないので注意)。二度洗いすればなお良いが、ちょっともったいない。1回でも劇的に美味になるはずだ。

では、なぜ、牛乳で洗うとハンバーグがおいしくなるのか。

牛乳でひき肉を洗うとおいしくなる

牛乳は肉を臭みを取るという話を聞いたことがある人は多いかもしれない。しかし、なぜ臭みが取れるのかを知る人は少ない。私自身、さまざな資料を調べてみたが、明確な答えを見つけることはできなかった。

以下は、私の臆測であるが、牛乳の脂分が臭み取りに大きな役割を果たしているのではないかと考えている。

まず、肉に臭みが出る最大の要因は、肉から出るいわゆる「アク」に由来する臭みである。では、アクは何でできているのか。肉から出る古くなった血液などのドリップが凝固したものなどと言われることがあるが、実は肉を煮て取り出したアクを分析してみると、そのほとんどが脂に由来するものなのだ。

つまり「臭い脂」をうまく取り除けば、ひき肉の臭みは減る。それを利用したのが、サラダ油でひき肉を一度あえることで臭みを取るという方法である。これは科学調理で知られる水島弘史シェフが考案した方法で、温めた油にひき肉を入れて混ぜてから油を切ると、油に臭みがどんどん溶け出し、驚くほど臭みが抜けるのだ。

ただ、残念ながらハンバーグには応用できない。まず肉の色が少し変わるぐらいまで加温するので、生肉のように粘りのある肉だねが作れない。油の温度を低くしてみたが、その場合も、油をうまく切ることが難しく、肉が油まみれとなっておいしいハンバーグは作れなかった。水島シェフ自身もハンバーグにはこの手法を使っていない。

牛乳は、水分に脂などの細かい粒子が浮いたコロイド溶液だ。牛乳が白く見えるのも、脂肪球が可視光を反射しているからである。この脂肪は冷たい牛乳では個体だが、体温ほどの温度(37℃くらい)で液体になる。そこに肉の臭い脂が溶け出し、臭みが抜けるのではないか、と私は思っている。

牛乳の脂肪分に臭みの原因である肉のアクが移る。それを洗い流せば、臭みも一緒に洗い流されるのだ。

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