40代からの体調不良 漢方で「気・血・水」整え改善更年期を快適に過ごす(中)

日経ヘルス

2018/12/10
(イラスト:谷小夏)
(イラスト:谷小夏)
日経ヘルス

倦怠感、冷え、イライラ、のぼせといった、40代に入ってからの不調に漢方薬が適していることは前回「40代からのイライラ・だるさ・発汗… 漢方薬に効用」で説明した。2回目は、漢方薬選びの基本的な考え方を紹介する。

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生命エネルギーの「気(き)」、血液や栄養を表す「血(けつ)」、リンパ液など血液以外の体液を指す「水(すい)」。漢方では、これら3つの要素が体内を常に巡っており、その流れに異常が生じたとき、不調や病気が起こると考えられている。

例えば気が逆流する「気逆(きぎゃく)」ではのぼせや発汗が、血の流れが悪い「お血(けつ)」では肩こりや便秘が、水が滞る「水毒(すいどく)」ではむくみやめまいなどが現れる。ほかにもタイプがあるので、どれに当てはまるか確認しよう。

(イラスト:谷小夏)

「一般に閉経へと向かう更年期の入り口では、月経異常などのお血になる人が多い。気血水は互いに影響し合っているので、血の異常から気や水のバランスも崩れ、様々な更年期症状を招きやすい」と青山杵渕クリニックの杵渕彰所長。

漢方薬を選ぶ際は、気血水のどこに原因があるかを見極めると同時に、「虚証(きょしょう)」「実証(じっしょう)」といった体質も考慮する。「虚証は一般にカゼを引きやすく、引くと治りにくい人。実証は風邪を引きにくく、体力に自信がある人。中間証はその中間」と慶應義塾大学病院漢方医学センターの堀場裕子医局長。症状が同じでも、体質を示す「証」によって、どの漢方薬が効くかが異なるわけだ。

例えば、婦人科3大処方と呼ばれる加味逍遥散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)。更年期症状によく用いられる漢方薬だが、働きや対象となる人は異なる。加味逍遥散は気血水すべてに効く生薬を含み、やや虚証からやや実証まで幅広く使える。イライラやうつ、不安、不眠などの精神症状に効果的だ。当帰芍薬散は水毒とお血を改善し、虚証の人の頭痛やめまい、冷え症に効く。「もともと月経が不順で、経血量が少ない人に向く傾向がある」と堀場医局長。桂枝茯苓丸はお血に効き、中間証から実証の人の肩こりやのぼせ、シミ、静脈瘤などを改善する。「以前から月経痛がひどく、経血量が多い人に適している」(堀場医局長)。

杵渕彰さん
漢方医学研究所青山杵渕クリニック(東京都港区)所長。1972年、岩手医科大学卒業。都立松沢病院、日中友好会館クリニック所長などを経て、2001年から現職。専門は漢方全般、精神科。日本東洋医学会専門医、日本精神神経学会専門医。
堀場裕子さん
慶應義塾大学病院(東京都新宿区)漢方医学センター医局長・助教。2003年、杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部産婦人科を経て、11年から漢方医学センター。専門は漢方全般、産婦人科。日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医。

(ライター 佐田節子)

[日経ヘルス2018年12月号の記事を再構成]