過去に電子申告した人もID・パスワード方式が可能
過去に電子申告を行ったことがあり、利用者識別番号を持っている人は、利用者識別番号をメモして税務署に行くと、ID・パスワード方式も選ぶことができる番号に更新することができます。
私自身も3年ほど前に電子申告をしていて利用者識別番号を持っていたのですが、パソコンを変えたり、引っ越しに伴いカードリーダーを紛失したりしたため、念のためID・パスワード方式も選択できるように、先日手続きをしてきました。
利用者識別番号をきちんと把握している場合、住んでいる地域の管轄税務署でなくても手続きを済ませることができます。私も管轄税務署ではなく、仕事で近くに行く予定があった税務署で手続きをしました。
フリーランスは電子申告で減税も
20年からは年収850万円超の会社員は実質的に増税になります。同じタイミングで、フリーランスや自営業者は、電子申告を行うことが「減税」につながるルールが施行されます。
所得税の計算は、「収入-経費-各種控除=課税所得」の算式で導き出される「課税所得」に税率をかけることで決定します。つまり、経費や控除が多いほど、納める所得税は少なくなります。
20年からは、会社員にとっての経費にあたる給与所得控除が全体的に10万円引き下げられ、誰もが受けられる控除である基礎控除は10万円引き上げられます。経費と控除が同額ずつ減って増えるため、税額が変わらない会社員も多いです。一方で、年収850万円を超える人は、実質増税になります。給与所得控除の上限額が220万円から195万円になるとともに、上限額が適用される年収が850万円に引き下げられるからです。
フリーランスなどの個人事業主も同様に基礎控除は10万円引き上げられますが、青色申告特別控除の額が65万円から55万円に10万円引き下げられるため、何もしなければ実質変化はありません。
ところが、青色申告特別控除を受けている人が、正しく帳簿をつけ、電子申告を行った場合は、青色申告特別控除の額が65万円のまま据え置かれます。青色申告特別控除が据え置かれ、基礎控除が増えることになるため、合計で課税所得が10万円低くなり、減税につながるのです。
この減税のメリットを享受するには、正しく帳簿をつけることはもちろんですが、電子申告をしなければなりません。そこで、19年の確定申告ではID・パスワード方式を試しつつ、20年に向けて電子申告に移行するトレーニングをしておけるとよさそうです。
