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キャリアの壁をどう破るか

好きな道を貫くには 土俵を変えてユニークさで勝負 WEF名誉会長・尾原蓉子氏×一橋大学名誉教授・石倉洋子氏

2018/11/28

尾原 私が日本の子供たちを見ていて思うのは、閉塞感が強く、縮こまっている。一般論の成績や、周りや他人の目を気にしすぎていること。これは大人の責任です。試験目的の勉強よりも、知的好奇心を触発する場に連れ出し、いろいろな体験をさせたほうがいい。興味が出てくれば、それに関するアンテナが立って情報が入るようになり、もっと知りたいと思い始めます。そうやって好きなこと、得意なことを探していけば、自信もついて自尊感情も生まれ、Purposeやビジョンにつながっていくと思うのです。やりたいことがわからないからと、大人になっても自分探しをずっと続けているのは、時間の無駄です。

■何歳であろうと、昨日の私よりも進歩する――年齢の壁

石倉 そうですね。もちろん、最初から自分のやりたいことがわかっている人は、ほとんどいません。いろいろな人に会ったり、あれこれ試したりする中で、好き嫌いや適性はわかってくるものです。そんなことをやっても無駄だ、年齢や資格が足りないからできないとは言わずに、背中を押してくれる人が周りにいるといいなと思います。

対談する石倉洋子氏(左)と尾原蓉子氏

尾原 石倉さんは専門能力を磨き、エンプロイアビリティー(雇用される能力)を高められてきましたが、直近でも、新たな分野にチャレンジされていると聞きましたが。

石倉 若い人から、初心者向けのプログラミングの良いコースがあると聞いて、すぐに申し込みました。昔からテクノロジーやプログラミングには興味があったのです。プログラミングの初歩を学んだ後に、サイトやブログの作成に使う「ワードプレス」に挑戦。すごく大変ですが、少しずつわかってきて、楽しいという感じを持つようになってきました。

そこでの一番の発見は、膨大な時間がかかるということ。エンジニアが夜遅くまで仕事をしている理由がわかりました。それから、正しい答えを全部作ってから試すのでは、どこに問題があるかわからない。少し作っては、動くかどうかを試し、修正しながら作り上げる。今はそういう時代であることを実感しました。

尾原 人生100年とすると、私はあと20年あるわけですが、これからは若い人が元気になって今までの日本人とは違う生き方ができること。そのために留学支援などの活動を通じて、グローバルに活躍する人たちを一定数生み出せたらと思っています。また、仕事はつまらないものだけど、大人になったら、やらねばならないと思っている小中学生が多いように感じるので、仕事が面白くなり、仕事を通じて変化を起こせる充実感や、世の中のためになることが自分にもできることを、もっと知らせたいですね。

石倉さんは100歳まであと30年。どんな生き方をしたら、お墓に入るときに「私の人生はよかった」と思えるのでしょうか。

石倉 何かをやり終えたというよりも、「もっとやりたかった」と思って死にたいですね(笑)。常に新しいこと、面白いことをやっていたいのです。カナダのスポーツジムの壁に「周りと比べるのではなく、昨日の私よりも進歩しているかが大事だ」という言葉があったのですが、その通りです。自分のやりたいことをして、常に前に進んでいければいいと思っています。

(文・構成 渡部典子)

ブレイクダウン・ザ・ウォール Break Down the Wall 環境、組織、年齢の壁を破る

著者 : 尾原 蓉子
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,620円 (税込み)


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