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ヒットを狙え

大ヒット健康茶 類似品続出をデザイン一新で乗り切る

日経クロストレンド

2019/1/9

右のパッケージから左のパッケージにリニューアルした
日経クロストレンド

「変なホテル」のブランディングを担当するGRAPHの北川一成氏とともに、広告やパッケージにとどまらない総合的なデザイン戦略の重要性を、実例を基に考える。今回は地元の特産品を使い、累計3億杯以上のヒット商品となった「丹波なた豆茶」を取り上げる。類似品続出の危機をどう乗り切ったのか。

こやま園の「丹波なた豆茶」は、無農薬で育てた丹波産なた豆100%で作る健康茶だ。丹波地方では昔から、なた豆で作ったお茶は血液の浄化作用があるとして愛飲されていた。けれども、なた豆の栽培は容易ではなく、いつしか誰も作らなくなってしまったという。

兵庫県丹波市にあるこやま園の小山伸洋社長は2000年ころから、なた豆の効能・効果や食べ方、栽培方法などの研究を開始。無農薬でなた豆の栽培を始め、03年から「丹波なた豆茶」と名付けて製造、販売するようになった。近年、なた豆に多く含まれるコンカナバリンAという成分が腎臓の「ろ過機能」を修復することが発見され、腎機能の改善をはじめ、むくみ予防や血行促進、歯周病、鼻炎などの症状を緩和する効能もあることが分かっている。

そんな丹波なた豆茶の評判は口コミで広がり、04年にテレビの全国放送で紹介されると、注文が殺到。丹波なた豆茶の知名度は一気に高まった。

だが、「大量生産する体制が整っておらず、半年以上待ってもらっていた」と小山社長は振り返る。なた豆の栽培に協力してくれる契約農家を増やしていき、量産できる体制を整えていったという。

小山社長がGRAPHの北川一成氏と出会ったのは、本格的に量産化を始める直前だった。北川氏がブランディングを担当することになり、13年にロゴ・マークとパッケージをリニューアルした。「特に海外の展示会では、パッケージに興味を持ってブースに立ち寄ってくれる人が増えた。売り上げは毎年伸び続けており、累計3億杯分以上、販売している」(小山社長)。地元独自の資源を使って、地域を活性化している優良事例を政府が表彰する、2018年度「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に認定され、特別賞「プロデュース賞」も受賞。地元農家と連携した生産方法や、海外展開、売り上げの増加、丹波ブランドの知名度向上に貢献したことなどが評価された。

■課題:後発の競合商品との差異化

小山社長は、12年に都内で開催された「スーパーマーケットトレードショー」に出展し、その会場でGRAPHと知り合ったという。こやま園で働くスタッフがGRAPHや北川氏の活躍を知っていたことから、かねてよりリニューアルが必要だと感じていた丹波なた豆茶のロゴ・マークのデザインを依頼したという。

それに対して北川氏はロゴ・マークを新たにデザインするだけでなく、パッケージデザインも見直すべきだと考えた。それは、丹波なた豆茶は「なた豆茶」という健康茶の新たな市場を作った先発商品であるにもかかわらず、次々に登場する競合商品の中に埋もれているように感じたからだ。リニューアル前のパッケージは、筆文字を使った和風なデザインで、健康茶らしい表現だった。逆に言えば、誰もが思いつくような素直なデザインでもあった。そのため、後発の競合商品のパッケージも似たようなデザインが多かった。

こやま園の丹波なた豆茶は、農薬や化学肥料を一切使わずに育てた丹波産のなた豆を100%使用している。だが、パッケージからは高品質なお茶であることが伝わりづらいという課題もあった。北川氏はそのことも指摘した。

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