「マツコ」の威力 バターナイフ500本が瞬時完売
Yahoo!ショッピングの購買データより
TBS系列の「マツコの知らない世界」で紹介されたバターナイフが爆売れだ。番組での紹介後30分で通販在庫が払底し、約1カ月後も万単位の注文残があるという。日経クロストレンドがヤフーの協力を得て電子商取引(EC)モール「Yahoo!ショッピング」の10月の購買データをランキング化した結果、そんな事実が明らかになった。
表は、前月は販売実績がなかったものの、10月に急激に販売数が増加した商品のランキングだ。1位は「MAC チーズ・バターナイフ MK-40」。その名の通り、バターを塗ったりチーズを切ったりできるだけでなく、サラミやにんにくを刻んだり、刻んだにんにくを潰してペースト状にしたり、ジャムをすくったりするなど、1本で何役もこなせる優れものだ。
包丁メーカーのマック(堺市)によると、このバターナイフはもともと、バターやチーズの消費が多い欧米向けの製品だった。日本ではプロモーションにさほど注力しておらず、販売数も年間1000本程度にとどまっていたという。
ところが2018年10月16日にTBSテレビのバラエティー番組「マツコの知らない世界」で取り上げられて状況が一変した。「Yahoo!ショッピング」を含むネット通販の在庫の400~500本が、放送終了後わずか30分で完売。実店舗でも品切れを起こし、約1カ月後の時点でも「万単位の注文残がある」(マック)状態で、出荷を一時停止して増産中。再出荷は18年12月以降になる予定だ。
マックの担当者は、「マツコさんが『これ便利だと思う』と言ってくれたことや、併せて紹介された他社の包丁が数万円と高価な商品が多いなか、当社のバターナイフは2800円と手ごろな商品だったため価格の訴求力があった。番組でナイフが薄く、しなる様子が紹介されたことも、見た人にインパクトを与えたようだ」と分析。過去に同社の他の商品がドラマで使われて話題になり、売り上げがアップしたこともあるが、ここまでの反響は初めてといい、「マツコさんの威力を感じた」(マック)と話す。
GoProフラッグシップ機が2位
2位の「GoPro 4K HERO7 BLACK」は、ウエアラブルカメラの定番「Go Pro」のフラッグシップ機で、18年9月20日に発売された新製品だ。電動ジンバル(手ぶれを補正する装置)に匹敵する強力な手ぶれ補正機能「HyperSmooth」が搭載されて話題を呼んだ。
Twitter上には「手ぶれしなさ過ぎ、すごい」「タイムワープビデオが楽しい」「もうジンバル要らずです」といった、購入者による高評価が多数投稿されている。同製品で撮影された作品も数多く投稿されており、サイクリング動画や車載動画などが人気を集めている。一方で、5万円超と高価格なため「欲しいけど高い」など購入を迷う声も見られた。
続いてもう一つの表を見てみよう。前月比で注文数が急増した商品のランキングだ。1位にはロート製薬の栄養機能食品「新セノビックウォーター」が入った。新セノビックウォーターは、水に溶かして飲む粉末飲料で、カルシウム・ビタミンD・鉄を取れるのが特徴。子供のいる家庭をメインターゲットにした商品だ。
同商品の売り上げは前月比で約2200倍と劇的に上昇した。その理由はYahoo!ショッピング上でくじを引くと、クーポンがもらえるキャンペーンを18年9月末から約1カ月間展開したためだ。くじが外れてもキャンペーン参加者全員が、新セノビックウォーターの購入で利用できる20%割引クーポンをもらえた。このクーポンが売り上げの激増に効果的だった。通常価格は500ミリリットル~1リットル用8袋入りで1296円(税込み)と比較的高額なだけに、割引クーポンは魅力的だったようだ。
(ライター 岡田有花)
[日経クロストレンド 2018年11月12日の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。