
白河 なるほど。「ハラスメント」という単語は使わないんですね。使わなくても、言いたいことがある人はフリー回答欄にびっしり書いてくるんでしょうね、きっと。
大久保 そうですね。このときは800件ほどコメント回答が上がってきたのですが、一つひとつ、すべてに対応しました。キャリアエージェントのメンバーと人事担当役員ですべて目を通し、重要なコメントをピックアップして役員会に届けました。
同時に、すべてのコメントを事業部ごとにまとめ、管轄する役員に報告をし、対応を促すという形で対処しました。コメントを書いてくれたメンバーにも、「こういう議論をして、今後はこういうふうに進めていきます」とフィードバックをしました。
社員の生の声が聞けるシステム
白河 いわゆるハラスメントが起きたときの対応窓口というのは別にあるんですか?
大久保 はい。そちらは実際に何か起きてしまったときの窓口ですが、Geppoは予防措置ができるという機能分担になっていると思います。
白河 会社全体として良い変化は生まれましたか? ハラスメントに限らず、様々な声を聞く機会を広げたことによって、どんな効果を得られていますか?
大久保 やはり従来は見えなかった課題点が、メンバーの生の声から吸い上げられるようになったというのが大きいですね。
若い会社ですので、マネジメントに関しては、現場を仕切るマネジャーそれぞれの解釈に任せてやってきた部分が多く、それがベンチャーならではの機動力にも結びついていたとも思います。しかし、これだけ会社が大きく成長すると、組織として目指すマネジメントの定義も必要になってきていて、マネジャーも悩んでいる。その傾向がGeppoから分かったのは、学びの一つでした。マネジャーを集めての研修の企画につながっています。
白河 先ほど挙がったハラスメントの問題にしても、マネジャーの立場からすると、「どこまでが指導としてセーフなのか」とビクビクしちゃいますよね。
大久保 おっしゃる通りだと思います。そのあたりの定義もしながら育成していこうと方針が決まりました。
(以下、来週公開の下編に続く。下編では退職しそうな人をどう防いでいるか、社内ヘッドハンターでもあるキャリアエージェントはどんな役割を果たしているのか、などをお聞きします)

(ライター 宮本恵理子)