火星でスキー? 東欧で幻想的なオレンジ色の雪
各地で初雪を観測する季節になった。ところで2018年3月、ロシア、ブルガリア、ウクライナ、ルーマニア、モルドバにかけての地域で、オレンジ色の雪が降ったことをご存じだろうか。赤橙に染まったスキー場は、超自然的な光景へと変わっている。その様子をとらえた映像を紹介しよう。
ロシアのソチでスキーを楽しんでいた人が、「今日は火星でスキーをしている」とソーシャルメディアに投稿するほど、白いはずの雪がオレンジ色に変わっていたのだ。どうして、こんなことになったのか?
気象現象が発生したのは、3月23~25日にかけて。雪の変色は、サハラ砂漠から巻き上がった砂塵(さじん)が原因だ。欧州上空で、低気圧の影響で反時計回りの風が吹いたため、その南にあるサハラ砂漠から南西の風が吹き込んだのだ。
英国気象庁のスティーブン・キーツ氏は、英インディペンデント紙に対し、「砂塵は大気に高く吹き上げられる際に広く分散します。雨や雪が降るとき、大気中に砂があれば、すべて一緒に降ってきます」と語った。
3月22日には、サハラ砂漠の砂塵を含んだ風が地中海を越え、ギリシャのクレタ島からトルコにかけて、赤茶けたもやがかかった。
ギリシャのアテネ国立天文台は、ここ10年間、高濃度のアフリカの砂塵を観測しているが、今回起きたサハラ砂漠から運ばれた砂は、ギリシャの観測史上、最大規模であったと、同天文台はコメントしている。
前年の2017年10月にも、ハリケーン「オフィーリア」がサハラ砂漠の砂を英国まで運んで空を赤く染めている。英BBCによると、このように砂塵が欧州まで遠く押し寄せる現象は、5年に1度起きているという。
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年3月28日付記事を再構成]
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