社会経験を積むと「理想像」も具体的に

「理想の上司像」についても聞いた。両者とも「人として尊敬できる」を挙げた割合が最も多かったが、2位は内定者では「仕事への熱意がある」だったのに対し、ビジネスパーソンでは「決断力がある」だった。

もちろん、親切で接しやすい雰囲気や、仕事に対する熱い思いは、あるに越したことはない。だが、それ以上にビジネスパーソンは、実務の状況や部下の仕事ぶりを見極めた上での「適切な」アドバイス、そして、熱意は胸に抱くだけではなく、物ごとを前に進める「決断力」として発揮してほしいという思いが強いようだ。世代の違いというよりも、実際に社会に出て働いてみることで、上司に求めるものがより具体的になってくることの表れといえるだろう。

上司と部下の思いがすれ違ってしまうとき、そこでは何が起きているのだろうか。日本メンタルヘルス講師認定協会代表理事の見波利幸氏は「部下は、自身の能力や努力、業務を取り巻く状況を適切に評価してほしいという期待を持っている」と指摘する。それなのに、上司は忙しさのあまりその余裕を持てない。

「部下のスキルや経験に応じた適切な裁量権を与えることができなかったり、『上司の上司』からの指示を下におろすだけで説明責任を果たさなかったりする。指示や指導だけに目がいきがちだが、こうしたマネジメント能力を発揮できない上司は『上司としての責任、役割を果たしていない』と見なされることになる」(見波氏)

人事評価に成果主義を取り入れる企業も増えている。見波氏は、その方向性自体は良いことだとしつつ「結果の数字だけで評価して、プロセスをサポートしていく意識がない上司は、部下から嫌われてしまう」と語る。

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