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ギリギリまで部活、1浪し医学部 海堂氏の千葉高時代 作家・海堂尊氏が語る(下)

2018/12/3

キューバに行ったのは2011年ですが、当時は(「チーム・バチスタの栄光」などの)桜宮シリーズを完結させることでいっぱいいっぱい。ほかのものを書く余裕などありませんでした。それが2015年に一通り完結し、時間がぽっかり空いて。これ以上書くものがなかったら、静かにフェードアウトしようと思っていました。そんなとき、ある編集者から「三好徹さんの文庫の新版が出たので送ります」と本が届いたのです。それで「あ、こういうので書けるかな」と感じました。要はタイミングですね。

ゲバラの本を書くにあたって、高校生のころどう感じていたのかを知ろうと、心を打たれた文章を抜き書きしていたノートを見返しました。でもそこには何も書いてなかった。無意識に、高校時代読んだものが心に残っていたのだと思います。

「生き抜くため、自分の体を知ってほしい」と思う。

人間への興味から医学部に進みましたが、忙しくて結論めいたものは何も得られずじまいでした。でも子供のうちから体の仕組みについて理解しておいた方がいい、と思うようになりました。自分が何かを書くとき、「小学生時代に自分が知っておいたらよかった」ということを念頭に置いて題材を選ぶことがあります。人体についてもそう思い、10個程度の臓器の大きさや位置などを分かりやすく解説した「トリセツ・カラダ」(宝島社)という本を書きました。「人間とは」という問いの答えは出ませんでしたが、自分の体について知ることは生き抜くために大切だ、という気付きにはつながりました。

自分のころに比べ、最近の学生は本当に真面目です。「今の若者は…」と文句を言っているのは自分と同じか、もう少し上の世代だと思いますが、「自分たちはどうだったの?」と言いたいですね。

今はインターネットで楽に情報を取得できるようになりましたがその分、上乗せが求められている気がします。私が大学院に入学した1993年当時、文献を探すときは図書館に行き目録を調べ必要な部分をメモし、目当ての本を見つけ出したものです。自分の大学の図書館になければ、他の大学から有料で1週間ぐらいかけて取り寄せるのです。ところが今はパソコンを使えば医学の学術文献データベースで瞬時に調べられる。手間が掛からなくなった部分が大きい分、求められる成果も高くなったように思います。

昔なら教授に「あれはもう調べたか?」と聞かれても、「まだ取り寄せ中です」などと答えれば済みました。ところが今は翌日には調べてないと「何やってるんだ」となってしまうでしょう。このスピードは、人間本来のリズムに合っていないように感じます。

高校時代も同様です。今よりずっとのんびりしていて、早くから受験勉強するよう追い立てられることもなく、ギリギリまで部活をやってました。自分は他人にせっつかれるのが大嫌い。昔の方が人間的で、今の学生はちょっとかわいそうだな、と思います。学生時代を振り返ると、千葉高校、千葉大医学部では、剣道や読書など授業以外で成長できた部分は多かった。もう少しゆとりを持って見守ったほうがいいのではないでしょうか。

(ライター 高橋恵里)

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