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スラムで踊るケニアの少女 若きバレリーナ夢輝かす

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/11/28

ナショナルジオグラフィック日本版

ナイロビに広がるスラム街キベラの自宅裏でバレエの練習をするパメラ・アディアンボさん(16歳)。キベラで約6年間レッスンを受けた彼女は、現在アーティスト・フォー・アフリカという慈善団体の支援を受けて、プロのダンススタジオで訓練を積んでいる(PHOTOGRAPH BY FREDRIK LERNERYD)

ケニアの首都ナイロビで最大のスラム街がキベラだ。その一角で将来のバレリーナを夢見て少女たちが踊る。ナイロビを拠点に活動するスウェーデンの写真家フレデリック・レアネルド氏は、18カ月にわたり、バレエを教えるマイク・ワマヤ先生と、その教室に通う少女たちを撮影した。

◇  ◇  ◇

「スプルジョンズ・アカデミー」では毎週水曜日の午後、終業のベルとともに、セメントの壁に囲まれた教室がバレエスタジオに変身する。約20人の女生徒が机と椅子を片付け、床をほうきで掃き、青やピンク、紫色のレオタードを着て先生を待つ。そこへ、温厚なマイク・ワマヤ先生がラジカセを持ってやってきた。クラシック音楽が室内に満ち、少女たちは踊り始める。

ワマヤ先生と少女たちを撮影したレアネルド氏は、水曜日のバレエレッスンを20数回見学した。初め少女たちは緊張した面持ちだったが、「次第に私の存在に慣れ、写真を撮られることにも慣れてきました」という。

レアネルド氏が、スラム街のバレエ教室に引かれたのは、その対照性だった。「私にとってバレエは、上流社会のダンスという印象がありました。キベラのような地域でまさかバレエを見られるとは思ってもいませんでした」。視覚的にも、薄暗い教室にレオタードやタイツなどの衣装が華やかな彩りを添える。「これは、彼女たちを待ち受けるキベラでの日常生活よりも、もっと大きな何かを達成できるという夢や希望の物語なのです」と、レアネルド氏は強調する。

レッスンに備えるバレリー・アウマさん、テレサ・アティアノさん、ラベンダ・オリサさん、エミリー・アディアンボさん(PHOTOGRAPH BY FREDRIK LERNERYD)

レアネルド氏が撮影した少女たちは、子供たちへの芸術教育を推進する慈善団体「ワン・ファイン・デー」と「アンノズ・アフリカ」の支援を受けている。レアネルド氏も、可能な範囲で協力するようにした。少女たちを、ナイロビの同居人たちと一緒に昼食に招いたり、ウェンディという少女とその家族にアイスクリームをふるまったりした。「当たり前のことだと思っています。彼女たちと私たちの状況はあまりに違いすぎますから」。自分とキベラに住む人々の間にある物質的な格差について、レアネルド氏はそう語った。

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