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今回の分析では、これら7項目の達成レベルを項目ごとに3段階に分けて、それぞれにスコアを割り当て、それらの合計を循環器健康全般スコア(0~14ポイント)としました(表1)。対象となったのは、フランスの3都市(ボルドー、ディジョン、モンペリエ)に住む、調査開始時点で循環器疾患または認知症ではなかった約9300人の高齢者です。

(出典:JAMA. 2018 Aug 21;320(7):657-664.)

対象となった高齢者に、1999~2000年に面接調査を行い、生活習慣、健康状態、医薬品の使用、余暇活動などを尋ねました。食物の摂取頻度の調査、神経心理学的検査、身体測定、血圧測定、血液検査(血中脂質量と血糖値)なども行いました。

さらに2016年7月まで、2~3年ごとに複数回、面接による認知機能の評価を行いました。4種類の認知機能検査を行い、4つの検査の結果に基づくZスコア〔Z=(本人のスコア-平均スコア)/標準偏差〕を計算し、Zスコアの平均値を求めて全般認知機能スコアとしました。高スコアほど認知機能は良好であることを意味します。

最終的に、必要な情報がそろっていた6626人(平均年齢73.7歳、63.4%が女性)を分析の対象にしました。

■循環器系が健康な人ほど認知症発症リスクは低

追跡期間の平均が8.5年(レンジは0.6~16.6)となった時点で、745人が認知症と診断されていました。認知症の罹患率は、全体では100人-年当たり1.32(対象となった人々100人を1年追跡した場合に1.32人が認知症と診断されることを意味する)でした。

「Life’s Simple 7」で最適なレベル(2ポイント)に達している項目の数が、0または1項目の人の、100人-年当たりの認知症罹患率は1.76でした。2項目の人ではそれより0.26低く、3項目では0.59、4項目では0.43、5項目は0.93、6または7項目の人は0.96低くなっていました。最適なレベルに該当する項目数が1つ増加するごとに、認知症発症リスクは10%低下していました。

続いて、循環器健康全般スコアと認知症発症の関係を調べたところ、同様の結果が得られました。スコアが1ポイント上昇するごとに、認知症発症リスクは8%低下していました。さらに、循環器系が健康な人ほど、全般認知機能スコアの経時的な低下は小さい(認知機能の低下速度が遅い)こともわかりました。

これらの結果は、循環器系の健康を高めるために生活改善をはかれば、認知機能の低下と認知症発症も予防できる可能性を示しています。

論文は、JAMA誌2018年8月21日号に掲載されました[注1]

[注1]Samieri C, et al. JAMA. 2018 Aug 21;320(7):657-664. doi: 10.1001/jama.2018.11499.

大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2018年11月7日付記事を再構成]

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