健康食として注目の大麦 もち麦と押麦って何が違う?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)「もち麦」はもち米と大麦を交配したもの
(2)「押麦」は大麦だが、「もち麦」は小麦の一種
(3)「押麦」は大麦を押しつぶしたもの
正解は、(3)「押麦」は大麦を押しつぶしたもの です。
近年人気の大麦ですが、一口に大麦といっても様々な種類があります。このため、いざ雑穀売り場に行っても、いろいろな商品があって、何がどう違うのか迷いがちです。まずは、大麦商品の違いを理解しましょう。
でんぷんの性質の違いと加工方法が違う!
最初に、認識してほしいのが、米にも「もち米」と「うるち米」があるように、大麦にも「もち性」のものと「うるち性」のものがあることです。これはでんぷんの性質の違いによるもので、もち性は粘りが強く、文字通り「もちもち」とした食感なのに対して、うるち性は粘りが少なく、プチプチした食感になります。
さらに、大麦は加工方法(精製後の形状)によって、大きく「押麦」「丸麦」「米粒麦」の3つに分かれます。押麦は、精製後に蒸して、押しつぶしたものです。どうして平べったくつぶされているのかというと、それには理由があります。
「大麦はそのままだと硬く、米と一緒に炊くと吸水率が悪く食感が良くないからです。押すことによって表面積が増えると、そのぶん吸水率が増え、米と同じ浸漬時間でおいしく炊き上がります」(はくばく市場戦略本部商品戦略部広報の山下奈々さん)。
一方、丸麦は精製した状態で、押しつぶしていない"丸のまま"のものです。また、米粒麦は、米粒大に加工して、視覚的に米そっくりに食べやすい加工をしたものです。シニア層の中には、「大麦といえば戦後の貧しい食生活を思い出す」という人も少なくありません。こうした人に配慮して加工したものです。また、米と比重が近いために、押麦のように炊き上がり時に上に集まることがないため、大量調理をする学校給食や病院食でもよく用いられています。
では、市販されている商品はどれにあたるのでしょうか。
一般に、「もち麦」という商品で販売されているのは、もち性の大麦で、形状は丸麦のものです。もち麦というと、大麦とは別の麦と思っている人もいますが、これはもち性の大麦の通称なのです。そして「押麦」商品の多くは、うるち性の大麦で、押しつぶした形状のものになります。
もち麦は水溶性食物繊維が多い
マスコミなどで取り上げられ、品薄になったのは「もち麦」です。なぜもち麦が人気なのでしょうか。
前出の山下さんは、「もち性の大麦は、水溶性食物繊維β-グルカンの含有量が多いという特徴があります。当社のもち麦商品の場合、水溶性食物繊維の量は100g当たり9.0gと、押麦(うるち性)に比べて5割ほど多く含んでいます。このため、食物繊維を効率よく摂取するにはもち麦のほうがお勧めです」と話します。
また、もち麦は、炊飯後に冷めても硬くなりにくいという特徴があります。「最近はコンビニエンスストアなどでもち麦入りのおにぎりも増えています。コンビニのチルドコーナーに置いても、硬くなりにくいと評価されています。朝、炊いた大麦ごはんを、お弁当やおにぎりにして持っていくなら、もち麦がお勧めです」(山下さん)
とはいえ、押麦など他の大麦商品も、水溶性食物繊維が豊富なのは共通しています。もち麦でないと健康効果がない、ということではありません。「押麦よりももち麦のほうが水溶性食物繊維量が多いのは確かですが、押麦も他の穀物と比べれば水溶性食物繊維がとても多く含まれています。値段や食感なども加味して選ぶことをお勧めします」と山下さん。実際、店頭で商品を見ると、もち麦の価格は押麦より高くなっています。
山下さんによると、「もち麦ファンはもち麦」「押麦ファンは押麦」というふうに、「これ、と決めたら浮気しない方が多い」のだそうです。ちなみに、牛タンのお供として知られている「麦とろごはん」に使われているのは押麦です。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年11月12日付記事を再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。