55歳からの投資戦略 利回り3%で96歳まで資産延命

そこでリスク分散に十分配慮しながら「余裕資金の一部を外国の株式や債券に振り向けることが望ましい」(資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏)。当面の生活資金は別途、安全資産で確保しておくのが前提だ。

高リスク資産の比率下げ

図Aの円グラフは国際分散投資の資産配分例だ。目標とする年利回りが比較的高い3%であれば「株式」「外国」の資産への配分比率が高めになる。年2%ならそれよりも「債券」「国内」の比率が高めになる。

この配分はあくまでイメージ。中高年の運用を考えると「年齢が上がるほど株式などの高リスク資産の比率を下げるのが原則」(尾藤氏)だ。高年齢になり収入が減るほど運用に失敗したときの痛手は大きい。年齢が上がるにつれてより慎重に運用したい。

株式や債券は個々に銘柄を選ぶ方法があるが、経験の浅い人は、複数銘柄を運用会社が選んで組み入れる投資信託を活用するのが一般的だ。ここ数年、国内外の資産に分散しながら投資家が払うコストを抑えた商品が増えている。イデア・ファンド・コンサルティングの吉井崇裕氏に例示してもらった(表B)。

例えば「iFree年金バランス」は、日本の公的年金の運用を任されている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が公表する資産配分にならい、先進国の株式や債券を組み入れている。「eMAXIS Slimバランス 8資産均等型」は新興国の資産にも投資しており前者よりはリスクをとる。保有期間中に手数料として差し引かれ続ける信託報酬は、どちらの投信も年率0.1717%と低めだ。

分散投資を心がけて

これらの投信は、運用収益が上がったときに分配金を払うより、その分を再投資して複利効果を得ることを重視する。吉井氏は「毎月分配型の投信は元本を取り崩すことにより、運用の実力以上に分配金を出す例が多い」と指摘する。

運用益に税金がかからない投資制度の利用も大事だ。深野氏は、積み立て型の少額投資非課税制度「つみたてNISA」の活用を提案する。「非課税枠である年間40万円分を投資して制度上の最長である20年間積み立てれば、合計800万円分を非課税で運用できる」と話す。

資産運用はあくまで余裕資金の範囲内でするのが鉄則だ。退職金などでまとまったお金が入るからといって、金融機関に薦められるままに、ひとつの商品に投じるのは禁物。はじめから高い収益は求めず、「焦らず、ゆったりとした姿勢で臨みたい」と専門家は口をそろえている。

(南毅)

[日本経済新聞朝刊2018年11月17日付]

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