新鮮なラムは女性のための肉 脂肪燃やし貧血に効果
近年の肉ブームやジビエ(野生の鳥獣肉)人気の流れを受け、今とくに注目されているのが子羊の肉であるラム肉です。鉄分やビタミンB12など女性にうれしい栄養素を含むラム肉は、中国やモンゴルでは「女性のための肉」といわれています。以前はクセの強さから羊肉は敬遠されがちでしたが、近年鮮度のいい高品質な羊肉が流通するようになったため、格段に食べやすくなったといわれています。専門店も続々と増えており、都内でも様々なスタイルのラム肉料理が楽しめるようになりました。
ラム肉は貧血対策にもおすすめ
そもそもラム肉は「羊肉の中でも生後1年未満のものを指します。1年以上のものはマトンといってラムとは区別されます。羊肉独特の風味は羊の年齢が高くなるほど強くなると言われており、ラムはマトンに比べて肉質がやわらかく、色も淡い特徴があります」とI's Food & Health LABO.(アイズフードヘルスラボ)代表で管理栄養士でもある藤橋ひとみさん。
これまで、「クセが強い」「臭いが独特」「固くて食べにくい」といったイメージがあったラム肉。鮮度の高いラム肉が出回るようになり、やわらかくて食べやすく、独特の香りも軽減されたため、ラム肉人気が高まってきているといいます。その栄養価はどんなものなのでしょうか。
「部位によって多少異なりますが、一般的な他の肉と比べると、ラム肉は鉄分を多く含む特徴があります。鉄分は、赤血球のヘモグロビンや各種酵素を構成するミネラルで、欠乏すると貧血や運動機能、認知機能などの低下を招きます。女性は特に不足しやすいため、積極的に取りたいですね。併せて、欠乏すると悪性貧血の原因となる、ビタミンB12も多く含むため、貧血気味の女性におすすめしたい食品です」(藤橋さん)
他にも、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げる効果が期待できるn-3系脂肪酸(オメガ3)や、酵素・DNA・タンパク質の合成を助けるはたらきがある亜鉛なども豊富だそう。「亜鉛が欠乏すると、皮膚炎や味覚障害、貧血が起こるリスクがあります」(藤橋さん)
また、ラム肉は牛肉や豚肉、鶏肉に比べて体脂肪の燃焼を促進するといわれているL-カルニチンを豊富に含んでいるという特徴もあり、ダイエット効果も期待できるそうです。女性にとって積極的に取りたい栄養素がしっかり取れる、まさに「女性のための肉」といえそうです。
ここからは、都内で新鮮なラム肉が楽しめる外食店を紹介します。
柔らかいラムしゃぶを和風だしでさっぱりと
東京・渋谷にあるラム肉専門店「ひつじの湯」では、鮮度抜群のラム肉を和風だしのしゃぶしゃぶで堪能できます。
同店では、厳選したオーストラリア産のラム肉を使用。しゃぶしゃぶにしても程よいやわらかさとうま味が楽しめると好評です。「鮮度のいいラム肉を店内でスライスすることにこだわっています。通常より少し厚めにスライスすることで、ラム肉のうま味と香りを味わっていただけます」と同店店長の佐藤透さん。
しゃぶしゃぶのだしは、昆布とかつおを5時間かけて煮出した和風だし。つけ汁は基本のポン酢と、2種のごまを使用したごまだれ、ラム肉によく合うジンギスカンだれも用意されています。
「『スタンダードの湯コース』ではラムしゃぶだけでなく、ラム肉の自家製つくねやラム肉の焼き物1品もついてくるので、いろいろな食べ方が楽しめます」(佐藤さん)とのこと。季節の野菜もたっぷり食べられます。
また、ラム肉をもっと堪能したいという人のために、ラムしゃぶと自家製つくねの食べ放題に飲み放題がついて4800円というコースもあり、こちらも人気となっています。
ラムをたっぷりのパクチーで味わう
東京・三軒茶屋にあるラム肉とワインの専門店「ラム&パクチーSalad Days」では、ラム肉をパクチーと組み合わせた、アジアンスタイルのラム肉料理を味わえます。
同店で使用しているラム肉はニュージーランド産のスプリングラムというもの。「ニュージーランドにて春に生まれた羊で、夏までの約6カ月間の間、栄養価の高い牧草だけを食べた子羊をスプリングラムと呼びます。クセのない上質でやわらかな肉質で、ラム肉を敬遠していたお客様でもラム肉にハマる方が続出しています」と同店店長の岩本武大さん。
3本のラムチョップはシンプルな塩味に加え、パクチーバターソースと赤ワインソースで味付けされたもの。千葉県の契約農家で栽培されたパクチーがたっぷり添えられていて、目にも鮮やか。「栄養価の高いラム肉と、トレンドにもなっているパクチーで、感度の高い女性のお客様に人気となっています」(岩本さん)。パクチー独特の爽やかな風味とシャキシャキの食感が、ラム肉のうま味を引き立ててくれます。
また同店では、ラムスライス肉に白菜や春菊などの野菜とたっぷりのパクチーも入った「ラムパク火鍋」も人気。辛さが3段階(ピリ辛、熱辛、燃辛)あり、麻辣ジャンのピリ辛スープと、ラム肉だしの白湯スープの2種で味わえるので、寒い時期にはこちらもおすすめです。
ラム肉のうま味が溶けだしたカレー
最後は、東京・下北沢にあるカレー専門店「三日月カリィ侍.」の「赤ワイン仕立てのラムカリィ」を紹介。北海道発祥のカレー専門店の系列店である同店では、北海道になじみ深いラム肉を使ったこだわりのカレーを提供中です。
「赤ワイン仕立てのラムカリィ」はたっぷりの玉ねぎや人参などの香味野菜と赤ワインで煮込んでおり、水は一切加えていないのだそう。「ラムのもも肉ブロックと粗びきのひき肉の2種を使っています。ラム肉のうま味と赤ワインの風味をバランスよく出だせるよう調整しました」と同店を運営するソウルフラワーの事業部長蓮井圭二郎さん。
数種類のスパイスを独自に配合したルーはほどよい酸味があり、ラム肉独特のクセとも相性が抜群。「好きな人は好き、嫌いな人は嫌い、というクセの強さがありますが、たくさんの方にリピートしていただいていますよ」と蓮井さん。
キャロットラペやナッツなど、色鮮やかなトッピングが添えられていて、SNS(交流サイト)映えする盛り付けの美しさにも注目です。ルーの辛さやご飯の量、トッピングは自分好みにアレンジすることもできます。
いろいろなスタイルで楽しめるようになり、身近になってきたラム肉。自分好みのスタイルを見つけてみては。
※価格は特記がない限り税抜きです。
(取材・文 GreenCreate)
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