パネルは液晶を使った最新世代の「Liquid Retinaディスプレイ」である。アップルの技術仕様にHDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)に関する記載はないが、色鮮やかで明暗の階調感も豊かな映像は十分に高品位だ。ベゼルが狭いうえに黒いので、特に暗いシーンの多い映画やドラマを視聴すると没入感が得られるのがよい。

端子も変更。12年発売のiPhone 5、第4世代iPad、初代iPad mini以来採用されてきたアップル独自の端子「Lightning」から思い切ってUSB Type-Cに切り替えた。パッケージに付属する充電器とケーブルを使えば急速充電もできる。どちらのサイズのiPad Proも、公式に発表されている内蔵バッテリーによる最大連続駆動は約10時間。一般的なノートパソコンに肩を並べるパフォーマンスだ。
買うならWi-Fi+Cellurarモデル
新しいiPad Proは前述のとおり、12.9インチと11インチの2機種がある。それぞれカラーバリエーションはシルバーとスペースグレイの2色、ストレージは64GB/256GB/512GB/1TBの4サイズ、通信はWi-Fi専用かモバイル通信ができるセルラーモデルのいずれかを選ぶ。

iPad Proにノートパソコンに代わる便利さや機動力を求めるなら、迷わずにセルラーモデルを選ぶべきだと思う。筆者は外出先で記事を書くことも多いため、予約受付の開始日深夜にApple Storeで12.9インチのSIMフリー版を注文した。セルラーモデルに毎月1000円前後で3GB程度のデータ通信ができる格安SIMを装着すれば、いつでもどこでもネットにつながるパソコンのような使い方ができるからだ。ネットにつなぐにはスマホのテザリングを使う方法もあるが、毎度スマホのテザリング機能をオンにする手間を省けるうえ、Wi-Fiルーターを別途契約するよりもランニングコストが低く抑えられるだろう。
セルラーモデルはDSDS(Dual SIM Dual Stanby)対応で、nano SIMカードだけでなく、遠隔で情報を書き換えられる組み込み型SIM「eSIM」を併用できるという。海外ではいくつかの事業者がサポートしているようだ。海外に出張、または旅行にでかけた際にeSIM対応のキャリアのサービスに直に接続できればSIMカードを用意する手間も省けそうだ。機会があれば試してみたい。


iPad Proの使い勝手を強化するアクセサリーも新しくなった。あると便利なのは専用キーボードの「Smart Keyboard Folio」「Apple Pencil」「USB-C SDカードリーダー」だろう。ただ、もし外出中にiPadで音楽を聴きたいと思っていて、かつイヤホン/ヘッドホンは3.5mmアナログ有線接続のものを使いたいと考えているなら要注意だ。詳しくは後述するが、新しいiPad ProにはiPhone同様、アナログイヤホンジャックがない。従来から使っている3.5mmアナログ有線接続のイヤホンを使うには、USB Type-C端子に3.5mmヘッドホンジャックアダプターを挿して接続しなければならない。アダプターはiPad Proのパッケージには同こんされないので、Apple Storeで1000円で購入しよう。
「Smart Keyboard Folio」は不安定さが解消
新しくなったアクセサリーのうち、iPad Proの専用カバーを兼ねる「Smart Keyboard Folio」は見事なアイテムだと思う。キーボードの打鍵感は従来モデルからそれほど変わっていないが、筆者がかねてからウィークポイントと感じていたiPad背面の保護がしっかりできるようになっている。本体側面の磁力だけでつながっていることの不安定さも解消された。


画面を立てるときのポジションも2段階で調整可能だ。奥側にセットすると画面の角度が90度に近付くので、デスクに置いてタイピングするときにいい。手前側のポジションは、iPad Proを膝に乗せて原稿を書くときにちょうど良かった。従来のSmart Keyboardはキーボード側も途中で折れ曲がるデザインだったが、今度のモデルは1枚板のスレート状になっている。だから膝に乗せてタイピングしても安定するのだろう。

2つのアプリを同時に起動、表示する「Split View」機能を使うと、iPad Proでの作業がパソコンの感覚により近づいてくるのでお勧めだ。このSplit View機能の醍醐味はiPadの画面が大きくなるほど有効。その意味でも、2018年版で大きい画面のiPad Proを選びやすくなったことは合理的だし、支持したい。テレビ会議などで使えるマルチユーザーでのFaceTime通信も快適性がアップしそうだ。