私たちは正職員。職場は自分たちで何とかしなければ

うれしそうに部屋の話をする美佐さん。しかし、通勤時間が長いので平日の朝は早く、7時には家を出なければならない。

「朝食は出勤してから自席で食べることが多いです。サンドイッチだったりコーンフレークだったり。コーンフレークは席で牛乳をかけて食べます。高校時代から変わらないメニューです」

昼食は、持参した冷凍ご飯とおかず、インスタントの味噌汁という組み合わせが多い。ときどきコンビニの総菜も利用する。職場である大学の近くには飲食店がなく、学食は「炭水化物セットばかりなので行きたくない」と美佐さん。

「夜も炭水化物はほとんど取りません。夕食は自分で料理するか、外食です。知り合いのお店や赤ちょうちん系のカウンターが好きです。ママ手作りの大皿のおばんざいや、モクモク煙る焼き肉や焼き鳥、深夜食堂のようなお店で刺し身と日本酒なんていいですね。以前にバイトをしていたお店の近くに小さい路地がありました。そこにある隠れ家みたいなバーや居酒屋に行くと今でもかわいがってもらえます。でも、最近は遠くでの一人飲みが苦手になりつつあるので、自宅の近くで一軒、好きなお店を見つけたいです」

仕事では、正職員としての責任も感じている。

「アルバイトとして働いていた20代の頃は、与えられた作業をちゃんとやっているだけで十分でした。今の仕事でも業務であまり関わらない人とは会話する必要はなく、本心を隠してニコニコしていれば済むこともあります。でも、私が所属している部署は同じく独身の30代女性と2人だけで、正職員として自分たちの部署は自分たちで何とかしなければなりません。彼女との関係はニコニコしているだけでは済まないので、腹を割って話すようにしています」

美佐さんが現在の大学で働き始めたのは2年前のことだ。年収は約380万円と決して高くはない。しかし、昔から大学という場が好きなことに加えて、各種の研修を受けられる正職員であることが彼女のモチベーションを支えている。

「仕事が好きなのではなく、大学という場が好きなのだと公言してきました。正直、最近はその気持ちが薄れ、大学にいても楽しく感じなくなっていたんです。先日の研修で、学ぶ人の支えになりたい、大学の礎の一部となりたいと願った新人の頃を思い出しました」

月に20冊は読書、休暇は旅行、レトロな古着が好き

残業は少なく、夜8時ごろにはたいてい帰宅できる。そこからは大好きな部屋での至福の時間が待っている。美佐さんは多種多様な本に関心を持ち、併読しながら月に20冊ほど読んでいる。

「テレビは一応部屋にありますがほとんど見ません。新聞や雑誌もあまり読みませんね。ニュースはネットで見ます。好きな書き手の連載をネットで読むこともあります。基本的には映像よりも文章が好きです」

休暇は旅に出る。目的地に住んでいる友達を一人で訪ねていくことも少なくない。キャンプ用品を一式持っていて、仲間を探してはキャンプや登山を楽しんでいる。おしゃれな街歩きなどにはあまり興味がない。

洋服にもこだわりがある。もともとは「ヒッピーっぽい」レトロな柄が好きで、装飾が凝っている個性的な古着などを見つけては身に着けていたと美佐さんは明かす。

「今の職場にはとても着ていけないような服が多いです。たまにギリギリのラインを攻めて着ていますけどね(笑)。甘めの服は好きじゃないのですが、仕方なく名駅(名古屋駅)周辺のお店やZOZOTOWNでそろえました」

洋服の方向性を「ヒッピー系」から「フツーで甘め」に変えたのが2年前。すると、急にモテ始めたと美佐さんは振り返る。男性は見た目で恋をするのだ。モテ期の渦中にいる美佐さんの人間関係については後編で報告する。

大宮冬洋
フリーライター。1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに就職。1年後に退職、編集プロダクションを経て2002年よりフリーに。著書に『30代未婚男』(共著/NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる ~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)など。読者との交流飲み会「スナック大宮」を、東京・愛知・大阪などで月2回ペースで開催している。公式Webサイト https://omiyatoyo.com