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ドローンを「捕獲」せよ テロ対策に新装置、五輪は?

2018/11/22 日本経済新聞 朝刊

オープンワークス・エンジニアリングが開発したドローン捕獲システム「スカイウォール100」(同社提供)

普及が進むドローン(小型無人機)がテロなどに悪用されるリスクへの対処が急務になっている。そうしたなか、各国の警備当局の「救世主」になるかもしれない装備「スカイウォール」がこのほど登場した。すでにドイツ警察などが採用し、関係者の間で注目を集めている。

標的のドローン(下)をネットで捕獲した後、パラシュートを広げて降下する

2018年10月、都内で開催された見本市「テロ対策特殊装備展」(SEECAT)。多くの人が、英国のベンチャー企業、オープンワークス・エンジニアリングが不法ドローンを捕獲するために開発した「スカイウォール100」の展示の前で足を止めていた。

人が肩の上に乗せて携行できる同システムは、侵入ドローンを発見したら、(1)誘導表示に従って射手が標的のドローンに照準を合わせる(2)射程100メートルの迎撃弾を強力な空気圧で発射する(3)ドローンの間近で約3メートル四方のネットが広がり、ドローンを捕獲する(4)直後にパラシュートが開く――という仕組みだ。空気圧を高めた射程300メートルの車載用の「スカイウォール300」もある。

ドローンの急速な普及に伴って、テロに悪用されるリスクは確実に増加している。南米ベネズエラでは8月、爆発物を搭載したドローン2機を使い、マドゥロ大統領を狙った暗殺未遂事件が起きた。

日本政府は19年以降に相次ぐ「即位の礼」、東京五輪・パラリンピックなど重要イベントの期間中、会場などの上空でのドローン飛行を原則禁止できる法整備を進める構えだが、テロリストによる犯行を完全に阻止できる保証はない。

ベネズエラではマドゥロ大統領(左)を狙った暗殺未遂事件が起きた(爆発したドローンの破片から守ろうとする警備官ら)=新華社・AP

既存のドローン対応策、たとえば散弾銃による撃墜の場合、使用時に散弾や破壊されたドローンの残骸が現場一帯に降り注ぐため、多数の人が集まる場所ではまず使えないといった欠点がある。ドローンが危険な化学剤や放射性物質を搭載している可能性もある。

欧州では、ワシやタカといった猛きん類を調教して、飛行中のドローンのバランスを崩し、撃墜させようとする例もあるが、調教の手間やコストから取りやめる動きも出ている。

犯罪者やテロリストにドローンを操作させないよう妨害電波を出す手段もあり、米国では強力な電波を出して操作を乗っ取る方法も試みられている。ただ日本では「妨害電波の利用は、電波法の縛りを受けるため、場所と期間を限定しなければならないなど、柔軟な運用が難しい」という声が関係者から聞かれる。

そんななかで登場したスカイウォールは、発見から捕獲までの時間が短く、逃げられるリスクが減るのが大きな利点だ。捕獲後の解析が容易で捜査にも役立てやすい。

ドイツ警察など欧州の一部の機関はすでにスカイウォールの運用を始めており、ほかの欧米やアジアの国々からも関心が寄せられているという。

(編集委員 高坂哲郎)

[日本経済新聞朝刊2018年11月14日付]

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