ジャーナリストの津田大介氏が気になるモノやサービスに迫る本連載。今回は、ノートパソコンのキーボード部分に、電子ペーパーのE-inkディスプレーを搭載したレノボの「YogaBook C930」を試用した。「物理キーボードを持たないノートパソコン」というコンセプトが気になっていたという津田氏。実際に使ってみて、キーボードの重要性とパソコンの選び方を再考するきっかけになったようだ。

◇ ◇ ◇
YogaBook C930は、2画面構成の非常にユニークな製品だ。普通のノートパソコンであれば物理キーボードがある部分に、E-inkディスプレーを搭載。ここにキーボードを映し出すことで1センチを切る薄さを実現した。
この部分に表示できるのはキーボードだけではない。PDFを映し出したり、付属のペンを使って手書きで入力したりすることも可能だ。打ち合わせのときに、上部の液晶ディスプレーで資料やブラウザーを表示しながら、下のE-inkディスプレーを広く使ってメモを取るなど、アイデア次第で様々な使い方ができるだろう。付属する「Lenovo Precision Pen」の書き味も上々で、普段使っているApple Pencilとも遜色はなかった。

ヒンジが360度回転するので、さまざまなスタイルで使える。打ち合わせの際には180度開いて机の上に置けば、対面に座っている人も画面が見やすい。動画や写真を閲覧する際には、テントスタイルにしてタッチパネルで操作するのが便利だろう。E-inkディスプレーを手前にするように折り畳めば電子書籍の閲覧にも使える。ただ、Wi-Fi版で約775gという重量は片手で持つにはやや重いと感じたが。


ソフトキーボードだから実現した薄さ
YogaBook C930を試すにあたり、一番気になっていたのはソフトウェアキーボードの使い心地だ。
ディスプレーに表示されているだけなので、当然、凹凸はなく、キーを押しても普通のキーボードのように沈み込む感覚はない。その代わりにキーを押すとバイブレーションや音が鳴り、打鍵感は得られるように工夫されている。