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カリスマの直言

次の景気後退 日米欧で狭まる政策の余裕(加藤出) 東短リサーチ社長チーフエコノミスト

2018/11/19

写真はイメージ=123RF
「米欧では、次の景気後退期の政策バッファーの議論が高い関心を集めている」

米欧において「次の景気後退期の政策バッファー(余裕)」の議論が高い関心を集めている。例えば、ローゼングレン・ボストン連銀総裁は、今の米国は金融政策、財政政策、マクロプルーデンス政策(金融システム全体のリスクへの対応策)のいずれにおいても、次の景気失速時に打てる有効な手段を十分に持っていないと講演で度々警告を発している。

英国の経済誌エコノミスト(10月13日号)も同様の危機意識を背景にした「The next recession(次の景気後退)――どれほど悪くなるのか?」という10ページに及ぶ特集記事を掲載した。

この10年間、先進国を中心に多くの中央銀行は超低金利政策や量的緩和策(QE)などの非伝統的金融政策を実施してインフレ率を押し上げようとしてきた。しかし、高齢化などによる自然利子率(景気に中立な実質利子率)の低下や、グローバル化、デジタル革命による経済構造の変化もあって、一般物価の上昇ペースは過去の景気回復局面に比べゆっくりとしてきた。

■過去に比べ金利引き下げ余地は限られる

インフレが過熱しそうになければ、中央銀行は短期金利をあまり引き上げない。主要国の中で最も利上げを進めてきた米国ですら、短期金利は現時点で2%台前半だ。

フェルドシュタイン・ハーバード大学教授は、米国の過去の景気後退開始から回復開始までの期間の平均は1年未満であり、それらが浅く短く済んだのは、米連邦準備理事会(FRB)が短期金利を大幅に引き下げることができたからだと指摘している(9月28日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)。FRBが今後もうしばらく利上げを続けたとしても、過去の利下げ開始時に比べればその「発射台」は低い位置にとどまりそうだ。

ユーロ圏や日本の短期金利はいまだマイナス圏だ。つまり、日欧では金利引き下げ余地はより限られていることになる。

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