夫の死後も妻は自宅に安住 相続、40年ぶり大改正高齢化が背景、配偶者保護など柱

良男 ほかの改正は?

幸子 遺産分割がすむまで預貯金は基本的には引き出せないんだけど、条件を満たせば分割前でも各相続人が一定額までの預貯金を引き出せる仮払制度もできるわ。

 一連の仕組みはいつから使えるようになるの?

幸子 自筆証書遺言の簡易化が一番早くて19年の1月13日から。その他は基本的に法律の公布日である18年の7月13日から1年以内で施行される予定で今後、決まるわ。ただ、配偶者居住権などは公布から2年以内と少し遅いの。

良男 待ち遠しい人もいるだろうな。

幸子 ただし、改正点の多くは、今でも亡くなる人がきちんと遺言をしておけば大丈夫な話ではあるのよ。例えば、遺言があれば法定相続割合に優先するから、「自宅と預金○○万円は妻に」などと遺言しておけばいいの。介護の寄与料も「お世話になった長男の奥さんに△△万円」などと遺言しておけばいいのよ。でも、現実にはきちんと遺言をしない人が多いの。三菱UFJ信託銀行の小谷さんは「そうした場合でもトラブルの解決に役立つのが今回の法改正」と話しているわ。

■「遺留分」も解決しやすく
税理士 柴原一さん
遺言があればそれに基づいて遺産を分けますが、その場合でも法定相続人には最低限の権利が保障されていて、これを遺留分といいます。多くは法定相続分の半分です。遺留分を考慮しない遺言があると権利を侵された人は遺留分減殺請求ができますが、この請求があると土地・建物も含めた財産が共有状態になり売却などが難しくなります。
法改正では遺留分に満たない部分はお金で返すよう一本化され、不動産などが共有状態になることを防ぎやすくなります。しかし払うお金がないことも多くあります。利害の反する相手同士の共有状態だと資産を担保にお金を借りることは難しいですが、今後は資産を多くもらった方がそれを担保にお金を借りやすくなります。そうして遺留分に足りない分を払うことも期待できます。
(聞き手は編集委員 田村正之)

[日本経済新聞夕刊2018年11月14日付]

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