夫の死後も妻は自宅に安住 相続、40年ぶり大改正高齢化が背景、配偶者保護など柱

幸子 大和総研金融調査部の弁護士、小林章子さんは「今回の様々な法改正の大きな背景には相続の高齢化がある」と話すわ。相続税の申告状況から判断すると、被相続人(亡くなった人)のうち80歳以上の占める割合は1989年には39%だったのに、2013年には68%に上昇しているの。残された配偶者も同じような年齢の人が多いでしょうから、やはり高齢ね。

良男 保護の必要性が高まっているということだね。

幸子 同様の発想なのが夫婦の間で自宅不動産を贈与した場合の法改正。これまでは自宅贈与があれば「特別な受益があった」として、相続発生後にその分だけ遺産の先渡しがあったとして遺産分割の対象になっていたの。でも改正民法では、婚姻期間20年以上の夫婦が、住居を生前贈与するなどした場合は特別な受益にあたらないとして、遺産分割と切り離すことになったわ。贈与した自宅以外の預貯金などの財産が3000万円で遺族が妻と子なら、この3000万円だけを分割すればよくなるの。税理士の柴原一さんは「自分で売却などができない居住権より、生前に贈与を受けておくほうが通常は妻にとって安心感がある」と指摘しているわ。

 相続の高齢化はほかの項目にも影響を与えているの?

幸子 被相続人が自分で書く自筆証書遺言の書き方が簡易化されたのもその一つ。三菱UFJ信託銀行リテール企画推進部担当部長の小谷亨一さんは「従来はどんな財産を持っているかという財産目録も全部自筆で書く必要があったから、特に高齢者は負担が重かった」と話すわ。今後は財産目録を添付する場合、パソコンで作成したり預金通帳のコピーなどでもよくなったの。不動産の登記内容の転記ミスなども少なくなってトラブルが減る効果もあるわね。

 子供の奥さんなどが介護をした場合の権利が強化されたっていう話も聞いたわ。

幸子 今でも介護をした人に「寄与分」が認められる仕組みがあるけど、法定相続人だけが対象なの。例えば子供の配偶者が一生懸命に介護をしていても、子供の配偶者は法定相続人ではないから請求権はなし。弁護士の小林さんは「法改正後は子供の配偶者など相続人以外の親族が被相続人の介護などをした場合に、特別寄与料として金銭の支払いを相続人に請求できるようになる」と指摘するわ。生前の介護の問題が重要性を増しているという点で、広い意味ではこれも相続の高齢化が背景ともいえるわね。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし