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ロカボって何 "不摂生"でも健康になれる生活習慣

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日経Gooday(グッデイ)

人生100年時代のための最新健康・美容情報体感イベント「スマートリィ・エイジングEXPO」(主催・日経ヘルス、日経グッデイ、日経BP総研、2018年7月)。そこでの講演の中から、話題の糖質制限食「ロカボ」を提唱する、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟さんによる「正しい糖質制限(ロカボ)の勧め」をお届けする。

カロリーは気にしない、注意すべきは糖質の量だけ

糖尿病が先進国ならではの"ぜいたく病"だったのは20世紀の話。WHO(世界保健機関)によると、2014年の時点で世界の糖尿病患者数は4億2200万人を突破したという。「今の時代、糖尿病は普通に暮らしている庶民がかかってしまう病気なんです」と山田さんは指摘する。

糖尿病の原因となる高血糖、そして高血圧や脂質異常は、放っておくとドミノ倒しのようにさまざまな病気を発症する。この現象は「メタボリックドミノ」と呼ばれる。中でも糖尿病は病状が進むと網膜症を起こして失明したり、神経障害を起こして脚を切断するような深刻な合併症を引き起こす。最近では、日本人の最大の死因であるがんのリスクを高めることも分かってきた。

その糖尿病は代表的な生活習慣病であり、予防・改善するには生活習慣を改善することが大切になる。かつて生活習慣の改善とは節制することだったが、「それでは人生が楽しくない。"不摂生"をしながら健康になれる生活習慣がある。それが"ロカボ"です」と山田さんは笑顔を見せた。

ロカボとは、ゆるやかな糖質制限食だ。一般的な日本人は1食で90~100グラム、1日で約300グラムの糖質をとっている。ロカボでは1食の糖質を20~40グラム、糖質10グラムのスイーツも入れて、1日に摂取する糖質を70~130グラムに抑える。「ちなみに、おにぎり1個の糖質が40グラム程度」(山田さん)。

つまり、1食の糖質摂取量をざっくり半分から3分の1にすればいいわけだ。なお、カロリー制限はまったくなく、たんぱく質や脂質はおなかいっぱい食べていい。糖質にさえ注意すれば、お酒を飲んでも構わない。

ダイエットと血糖値に加え、脂質代謝も改善

糖質制限の効果を明確にしたのは2008年、今から10年前に行われたDIRECT(ダイレクト)試験だ[注1]。肥満に悩んでいる322人を3グループに分け、3種類の食事法を2年間続けてもらった。

まず、油とカロリーを控え、当時は最も健康的と思われていた「低脂質・低カロリー食」。次に油はとってもいいがカロリー制限はある「地中海食・低カロリー食」。そして、1日の糖質を120グラム以内に抑えるだけで油やカロリーはいくらとってもいい「低糖質・カロリー無制限食」(ほぼロカボと同義)だ。

その結果、ダイエット(体重減量)に最も効果があったのは予想に反してカロリー制限のない糖質制限だった。どの食事法も体重の減量は認められたが、体重の下げ幅が最も大きいのは、カロリー制限でなく糖質制限だったのである。

「油を控えているとエネルギーを使わず、ため込みやすい体になる。一方、たんぱく質や油は早く満腹感を得られてそれが長続きするし、そしてエネルギーを燃やしやすい体になるんです」と山田さんは説明する。

ロカボの効果はダイエットだけではない。カロリー制限食を続ければ当然体重は減るが、脂質制限では血液中の中性脂肪やコレステロール値にはほとんど影響が見られなかった。ところが糖質制限をしたグループは、明らかに中性脂肪が下がり、HDL(善玉)コレステロールが増えていた。糖尿病の指標となるHbA1cは、ほかの食事法の倍程度の改善効果が見られた。

[注1]N Engl J Med. 2008 ;359(3):229-41

 日本では、山田さんたちが同様の研究を行っている[注2]。糖尿病患者24人を12人ずつに分け、一方にはカロリー制限食、もう一方にはロカボを6カ月間続けてもらった。カロリー制限食では、血糖値や中性脂肪はほとんど変化が見られない。それに対してロカボのグループは血糖値も中性脂肪も明らかに改善したという。

たんぱく質をしっかりとるので筋肉が減らない

カロリーを気にせず糖質だけを減らす結果、自然とたんぱく質や脂質の摂取量が増えるのもロカボの特徴だ。

最近、筋力の衰えから寝たきりにつながるロコモティブシンドロームも注目を集めているが、ロカボにはこれを予防する可能性もある。体重が多い人はロカボによってやせたが、もともとやせていた人は逆に体重が増えた[注3]。これは「筋肉が増えたため。たんぱく質をしっかりとるロカボは筋トレをしなくても筋肉を増やすので、ロコモティブシンドロームの予防も期待できます」と山田さんは話す。

スポーツの世界では、カーボローディングという言葉がある。試合の前に糖質を大量にとることで、筋肉のエネルギーとなるグリコーゲンをたくわえようという考え方だ。

しかし最近の研究では、糖質を控えても体内のグリコーゲン量に大きな変化は見られないことが分かっているという[注4]。むしろ、筋力に関してはロカボをした方が高くなる[注5]。これはたんぱく質の摂取量が多くなることで筋肉が増えたため、と考えられている。アスリートにとっても、ロカボは有効な食事法なのだ。

血糖値の急上昇は"肥満ホルモン"とも呼ばれるインスリンの分泌を増やして肥満や糖尿病のリスクを高くするが、血糖値を上げる栄養素は糖質しかない。糖質の量が同じ場合、たんぱく質や脂質が多く、カロリーが高いほど食後の血糖値が上がりにくい。

実際、白米を単独で食べるよりも、卵や豆腐(たんぱく質)を一緒にとった方が血糖値が上がりにくく、マヨネーズ(脂質)と野菜(食物繊維)を一緒にとると、さらに血糖値の上昇が抑えられた[注6]

現代人が注意すべきはカロリーよりも糖質のとり過ぎなのだ。むやみなカロリー制限は、骨密度を下げ、骨粗しょう症を招く危険もある[注7]

油もお酒もしっかり楽しめる

油のとり過ぎが良くない、という考え方も時代遅れになりつつあると山田さんは話す。

魚の油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は動脈硬化を改善して死亡率を下げるとの報告があるし、オリーブオイルは心臓病や脳卒中のリスクを下げると考えられている。これら"体にいい油"だけではない。日本人の場合、"体に悪い"とされる動物性の油(飽和脂肪酸)をたくさんとる人ほど脳卒中が少ないことが確認された[注8]。これらの研究を踏まえ、「はっきり体に悪い油は過酸化脂質とトランス脂肪酸くらい。これ以外の油はどんどんとるべき。少なくとも控えてはいけない」と山田さんは明言する。

実際、米国の食事摂取基準では2015年から油とコレステロールの摂取上限量が外された[注9]。日本の食事摂取基準はそこまで踏み込んでいないが、やはり2015年からコレステロールの制限はなくなっている。

ロカボはアルコールにも寛容だ。

「蒸留酒やワインはほとんど糖質を含まないので、ロカボでは(糖質量という意味では)飲み放題です(笑)。ビールは中瓶1本、日本酒は2合に約16グラムの糖質を含みます。最初に中ジョッキを1杯飲んで、あとは焼酎やハイボールに切り替えればいいのです」(山田さん)

このところロカボが広く知られるようになり、多くの食品メーカーが低糖質の食品を開発している。糖質を40グラム以下に抑えたコースを出している飲食店も増えてきた。どんどんラクにロカボが実践できる社会になってきている。

「ロカボはおなかいっぱい食べられてお酒やスイーツも楽しめる。つらいカロリー制限など必要ありません。おいしく楽しく食べて健康に。それがこれからの食事です」(山田さん)

[注2]Intern Med. 2014 ;53(1):13-9

[注3]Keio j Med. 2017 ;66(3):33-43

[注4]Metabolism. 2016 ;65(3):100-10

[注5]Metabolism. 2018 ;81:25-34

[注6]Br J Nutr. 2014 ;111(9):1632-40

[注7]J Bone Miner Res. 2016 ;31(1):40-51

[注8]Eur Heart J. 2013 ;34(16):1225-32

[注9]JAMA. 2015 ;313(24):2421-2

(文 伊藤和弘=ライター、撮影 稲垣純也、図版 増田真一)

山田 悟さん
 食・楽・健康協会代表理事、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長。1970年東京都生まれ。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日々、多くの患者と向き合いながら、食べる喜びが損なわれる糖尿病治療においていかにQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を上げていけるかを研究する。2013年に、一般社団法人「食・楽・健康協会」を立ち上げる。『糖質制限の真実』(幻冬舎)ほか著書多数。

[日経Gooday2018年9月7日付記事を再構成]

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