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ロカボって何 “不摂生”でも健康になれる生活習慣

日経Gooday

2018/11/25

写真はイメージ=(c)Suphakaln Wongcompune-123RF
日経Gooday(グッデイ)

人生100年時代のための最新健康・美容情報体感イベント「スマートリィ・エイジングEXPO」(主催・日経ヘルス、日経グッデイ、日経BP総研、2018年7月)。そこでの講演の中から、話題の糖質制限食「ロカボ」を提唱する、北里大学北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟さんによる「正しい糖質制限(ロカボ)の勧め」をお届けする。

■カロリーは気にしない、注意すべきは糖質の量だけ

「スマートリィ・エイジングEXPO」で講演する、食・楽・健康協会代表理事 北里大学 北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟さん。

糖尿病が先進国ならではの“ぜいたく病”だったのは20世紀の話。WHO(世界保健機関)によると、2014年の時点で世界の糖尿病患者数は4億2200万人を突破したという。「今の時代、糖尿病は普通に暮らしている庶民がかかってしまう病気なんです」と山田さんは指摘する。

糖尿病の原因となる高血糖、そして高血圧や脂質異常は、放っておくとドミノ倒しのようにさまざまな病気を発症する。この現象は「メタボリックドミノ」と呼ばれる。中でも糖尿病は病状が進むと網膜症を起こして失明したり、神経障害を起こして脚を切断するような深刻な合併症を引き起こす。最近では、日本人の最大の死因であるがんのリスクを高めることも分かってきた。

その糖尿病は代表的な生活習慣病であり、予防・改善するには生活習慣を改善することが大切になる。かつて生活習慣の改善とは節制することだったが、「それでは人生が楽しくない。“不摂生”をしながら健康になれる生活習慣がある。それが“ロカボ”です」と山田さんは笑顔を見せた。

ロカボとは、ゆるやかな糖質制限食だ。一般的な日本人は1食で90~100グラム、1日で約300グラムの糖質をとっている。ロカボでは1食の糖質を20~40グラム、糖質10グラムのスイーツも入れて、1日に摂取する糖質を70~130グラムに抑える。「ちなみに、おにぎり1個の糖質が40グラム程度」(山田さん)。

つまり、1食の糖質摂取量をざっくり半分から3分の1にすればいいわけだ。なお、カロリー制限はまったくなく、たんぱく質や脂質はおなかいっぱい食べていい。糖質にさえ注意すれば、お酒を飲んでも構わない。

■ダイエットと血糖値に加え、脂質代謝も改善

糖質制限の効果を明確にしたのは2008年、今から10年前に行われたDIRECT(ダイレクト)試験だ[注1]。肥満に悩んでいる322人を3グループに分け、3種類の食事法を2年間続けてもらった。

まず、油とカロリーを控え、当時は最も健康的と思われていた「低脂質・低カロリー食」。次に油はとってもいいがカロリー制限はある「地中海食・低カロリー食」。そして、1日の糖質を120グラム以内に抑えるだけで油やカロリーはいくらとってもいい「低糖質・カロリー無制限食」(ほぼロカボと同義)だ。

その結果、ダイエット(体重減量)に最も効果があったのは予想に反してカロリー制限のない糖質制限だった。どの食事法も体重の減量は認められたが、体重の下げ幅が最も大きいのは、カロリー制限でなく糖質制限だったのである。

「油を控えているとエネルギーを使わず、ため込みやすい体になる。一方、たんぱく質や油は早く満腹感を得られてそれが長続きするし、そしてエネルギーを燃やしやすい体になるんです」と山田さんは説明する。

ロカボの効果はダイエットだけではない。カロリー制限食を続ければ当然体重は減るが、脂質制限では血液中の中性脂肪やコレステロール値にはほとんど影響が見られなかった。ところが糖質制限をしたグループは、明らかに中性脂肪が下がり、HDL(善玉)コレステロールが増えていた。糖尿病の指標となるHbA1cは、ほかの食事法の倍程度の改善効果が見られた。

322人の肥満の男女を3つのグループに分け、「カロリーと油を控える」カロリー制限食、「カロリーを控えて油(オリーブオイルなど)はとる」地中海食、「カロリー無制限で糖質だけを1日120g以内に抑える」糖質制限食という3種類の食事療法の効果を調べた研究が「ダイレクト試験」。2年後、3つのグループのうち、最も減量効果が高く、中性脂肪値を下げ、善玉コレステロールを増やし、HbA1cが改善したのは糖質制限食だった。(N Engl J Med. 2008;359:229-241.を基に編集部により改編)

[注1]N Engl J Med. 2008 ;359(3):229-41

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